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他事
「他事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
他事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
之助は頻りに身の淫奔《いたずら》を詫び、何うかこれまでの行いはお許し下さる様にと
他事《たじ》はございません。妖怪変化のものは如何によく化けますといっても、必ず耳....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
《おもしろ》い夢でも見ているかな。」
「どうぞその後を、それから。」と聞く身には
他事をいううちが牴牾《もどか》しく、膠《にべ》もなく続きを促《うなが》した。
「....
「船」より 著者:島崎藤村
深くて、その男の死骸《しがい》は揚らなかったとか。この話を聞いた時は、山本さんは
他事《ひとごと》とも思えなかった。可恐《おそろ》しく成って、お新を連れて、国府津....
「並木」より 著者:島崎藤村
つや》も失くなって、まるで老婆然《おばあさんぜん》とした容子《ようす》を見ると、
他事《ひとごと》でも腹が立つ。そういう気象だ。「お互いに未だ三十代じゃないか――....
「運命」より 著者:幸田露伴
て遁れ去り、溥洽|状を知ると言うものあり、或は溥洽の所に匿すと云うあり。帝|乃ち
他事を以て溥洽を禁めて、而して給事中胡※の輩の固より知らざるところにして、たゞ天|之を知ることあらん。....
「闘争」より 著者:小酒井不木
事件であるのに先生はたゞフン、フンといってうなずかれるだけで、悪くいえば、まるで
他事を考えて居られるのではないかと思われるような、味気ない態度であった。僕が語り....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
して、大部分焼失したという。震災後一年に近い地方の人たちにとって、この報知は全く
他事ではなかった。もっとも、馬籠のような山地でもかなりの強震を感じて、最初にどし....
「家」より 著者:島崎藤村
三吉に向ってこう切出した。 「実は――今日は叔父さんに御願いが有って参りました」
他事でも無かった。すこし金を用立ててくれろというので有った。これまでもよく叔父の....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
振舞い、そこにいずれはないでもないが、吾儕の心を誘りゆいて、趣味の巷にこれ三昧の
他事なきに至らしむる、また以て忘機の具となすに足るべきではあるまいか。 蘇子、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
べし……どころでない、魂魄をひょいと掴んで、血の道の薬に持って行く。それも、もう
他事ではない、既に今朝の雪の朝茶の子に、肝まで抜かれて、ぐったりとしているんだ。....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
人前の膳部を整えて置くようにというお頼みでございます」 文「ウム」 女「私は
他事とは云いながら、命の恩人の敵、すぐに飛びかゝろうかと思いましたが、先は剣術|....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
海道から、江戸へ征込んで来ることだのという、血腥い事件も、ここ植甚の庭にいれば、
他事のようにしか感じられないほど、閑寂であった。 「姐さん、よくご精が出ますね」....
「謡曲仕舞など」より 著者:上村松園
、そんな持ち方などしたら、叱られますよ」といっていられました。 しかし、それは
他事ではありません。今度は私自身がその仕舞図を描くことになったのですから、そんな....
「ある自殺者の手記」より 著者:小酒井不木
る執着などは起こりそうにないが、自殺の方法を考えて居る五時間のあいだに、自分では
他事を考える余地はないと思っていたにかかわらず、入道雲のように生の執着が心の一方....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
研究し、それを自己の趣味とされた点を語らんとしたのであったが、不覚にもだんだんと
他事におよび、なにを語り、なにを説いているかさえ自分自身に判然し難くなって来た。....