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「他愛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

他愛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
りの眼で睨《にら》みつけた。物がいえなかった。いきなり火箸を振上げた。仁右衛門は他愛もなくそれを奪い取った。噛みつこうとするのを押しのけた。そして仲裁者が一杯飲....
高野聖」より 著者:泉鏡花
人《おんな》は解いたのを渡してやると、風呂敷《ふろしき》を寛《ひろ》げたような、他愛《たわい》のない、力のない、膝《ひざ》の上へわがねて宝物《ほうもつ》を守護す....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
》にも、こんな暢気《のんき》な事は覚えぬ。おんぶするならしてくれ、で、些《ち》と他愛《たわい》がないほど、のびのびとした心地《ここち》。 気候は、と言うと、ほ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、何だ。ええ君、妹たちには、もとより評判が可いんだからね、色男、ははは、」 と他愛なく身体中で笑い、 「だって、どうする。階下に居るのを、」 背後を見返り、....
朱日記」より 著者:泉鏡花
影も無い。赤い旗も、花火が落ちる状になくなったんだ。 小児が転んで泣くようだ、他愛がないじゃないか。さてそうなってから、急に我ながら、世にも怯えた声を出して、....
海異記」より 著者:泉鏡花
乗った形だっけ。一ぱし大きさも大きいで、艪が上って、向うへ重くなりそうだに、はや他愛もねえ軽いのよ。 おらあ、わい、というて、艪を放した。 そん時だ、われの....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
。矢張り老耄の生れ代りなんだ。当世向きに出来て居やあがる。 そんな訳で話も何も他愛なく纏まっちゃって、己れのこね上げた腸詰はグリゴリー・ペトニコフの皿の上に乘....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ついぞ行って見ようとも言わねえだっけが。」 「当前です、学校の用を欠いて、そんな他愛もない事にかかり合っていられるもんかい。休暇になったから運動かたがた来て見た....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
りだがついでおくれ、別れの杯になろうも知れん。」 と雫を切って、ついと出すと、他愛なさもあんまりな、目の色の変りよう、眦も屹となったれば、女房は気を打たれ、黙....
縁結び」より 著者:泉鏡花
片手をついた。胸へ気が籠ったか、乳のあたりがふっくりとなる。 「余り気を入れると他愛がないよ。ちっとこう更っては取留めのない事なんだから。いいかい、」 ともの....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
高くあげた手の指を離れて、岩がくれにやがてただ雲をこぼれた点となンぬ。 親船は他愛がなかった。 廉平は急ぎ足に取って返して、また丘の根の巌を越して、苫船に立....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
中に、むかし家で使っていた雇人や私たちの住んでいた家の形や、子供のあたまるような他愛もない小さな事を見出した。 そうだ、私は突然母の旧いおつくりを思い出したの....
狂人日記」より 著者:秋田滋
る。殺さなければならないのだ。 八月三十一日―― 遂にそれが行われた。なんて他愛のないことをしたものだろう。 私はヴェルヌの森へ散歩に出かけた。私は、何も....
三枚続」より 著者:泉鏡花
ねえもんだ、何だな、それがために浮身を窶し、茶屋場の由良さんといった形で酔潰れて他愛々々よ。月が出て時鳥が啼くのを機掛に、蒲鉾小屋を刎上げて、その浴衣で出ようと....
式部小路」より 著者:泉鏡花
話をして、女房がね、下駄をつまんで、枕頭を通り抜けたのも、何にも知らず、愛の奴は他愛なし。 それから路々|宥めたり、賺したり、利害を説くやら、意見をするやら、....