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他物
「他物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
他物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「時間」より 著者:横光利一
ごそごそと歩いているような気持ちがされて、これはまったく時間とは私にとっては何の
他物でもない胃袋そのものの量をいうのだとはっきりと感じられた。 私達は凡そそう....
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
身体の運動を感ずるのも同一である、外界といえば両者共に外界である。しかるに何故に
他物とは違って、自己の身体だけは自己が自由に支配することができると考え得るのであ....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
るものの認識論的の意義についてきわめて重要な問題に逢着する。約言すれば物理学その
他物理的科学の系統はユニークであるや否やということである。しかし私は今ここでそう....
「今日の日本の文化問題」より 著者:宮本百合子
では仙花紙を使って発行部数の不足を補っている。 定価 印刷費、用紙の値上げその
他物価の高騰につれて雑誌の定価も上昇をつづけた。一九四六年九月五円程度のものが四....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
種々の光、(三)種々の香気、(四)種々の楽声、(五)直接書記、(六)卓子、椅子其
他物品の浮揚、(七)物品引寄、(八)直接談話、(九)霊言、等を数えることができる....
「嫉みの話」より 著者:折口信夫
。女のねたみについては、この間、柳田先生の話を引いたように、われわれ男女の間へ、
他物を介在させまいとする感情である、ということは動くまい、と言うておいた。 「う....
「「沈黙」の話」より 著者:豊島与志雄
両眼は次第に力を失って、その代りに、額の皺が次第に深まり、それが一の眼となって、
他物は一切見ず、ひたすら女の方を見つめている。女はその眼に見入られながら、次第に....
「猫先生の弁」より 著者:豊島与志雄
にまで怪しい唸り声がする。私はまだ起きていたので、そっと立って行き、猫の出入口を
他物で塞いだ。家の可愛い猫をいじめる怪しからん奴、少し痛めつけてやれというつもり....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
てる音楽であった。しかるにクリストフは、真偽はともかくとして、フランスの音楽ほど
他物の支持を必要としてる音楽は他にない、というような印象を受けた。
他物にからんで....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。彼は自分の実質で生きるだけの養液をもっていなかった。彼は葛《かずら》であって
他物にすがらなければならなかった。自分を投げ出してるときがもっとも充実していた。....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
人間の利己心を取り去られていたので、人間から犠牲にされたもろもろのものに気づき、
他物を殺戮《さつりく》して人間が勝利を得てる戦いに気づいたのだった。そして彼の心....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なお雷である。人の宿命にも一種の連帯性があるもので、潔白それ自身といえどもなお、
他物をも染める反射の痛ましい法則によって罪悪の印が押されてることがある。最も純潔....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
広場の中を眺めた。死刑囚と叫びながら通行人らは馬車のほうへ駆けてきた。私は自分と
他物との間におりてきたように思われる靄《もや》をとおして、むさぼるような目つきで....
「山吹の花」より 著者:豊島与志雄
っても、そこには齷齪したトラブルは少しもなかった。伸び茂るもの、立ち枯れるもの、
他物に絡みつくもの、みな自然にそうなっていた。争いも抵抗も見られず、全体に連帯性....
「今昔茶話」より 著者:国枝史郎
た。この二人にとっては、個々の人間の道徳問題など問題でなく、国そのものの富強その
他物質的方面のみが問題だったのである。 だから、各国の王にはわかりよく、一時的....