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仙境
「仙境〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仙境の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
水産学校へ出る青年期までここに育ちながら、今更のように、「東京は山の手にこんな桃
仙境があるのだった」と気がついた。そしてこの谷窪を占める金魚屋の主人になるのを悦....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
御守護の神々仏様も、出入をお止め遊ばすのでございましょうと存じます。」 譬えば
仙境に異霊あって、恣に人の薬草を採る事を許さずというが如く聞えたので、これが少か....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
、弁天島の端なり、その……淡島の峯から、こうこの巌山を視めますと、本で見ました、
仙境、魔界といった工合で……どんなか、拍子で、この崖に袖の長い女でも居ようものな....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ね、谷の雲が晃々と、銀のような波になって、兎の飛ぶのが見えますよ。) (ほとんど
仙境。) と私は手を支いて摺って出ました。 (まるで、人間界を離れていますね。....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
をもって吃って見たい希望だ。それまでにはまだ一度や二度の勉強の機会があるだろう。
仙境なればこそ、こんな太平楽も並べて居れるが、世の中は師走ももう二十日まで迫って....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
方の月夜の中で、空間の諸物がほとんどハッキリ分界していなかった。わたしは画の中の
仙境がここへ出現したのかと思った。この時船はいっそう早く走って、まもなく舞台の人....
「指輪一つ」より 著者:岡本綺堂
たのですが、僕は大津にいるあいだに飛騨へ行った人の話を聞かされて、なんだか一種の
仙境のような飛騨というところへ一度は踏み込んでみたいような気になって、帰りの途中....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
は汲めども又別に一家を成そうと焦っている、立花直芳という若者であった。 「三面の
仙境には、江戸にいる頃から憧憬れておりました。そこをぜひ画道修業の為に、視ておき....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
白髪の老人が童子に琴でも持たしてやって来るのではなかろうかとおもわれるほどまるで
仙境に遊ぶ心持ちがされた。風景専門の人がいたら垂涎されるに違いない、いい画題がい....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
五 人は何とも言わば言え…… で渠に取っては、花のその一里が、所謂、雲井桜の
仙境であった。たとえば大空なる紅の霞に乗って、あまつさえその美しいぬしを視たので....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
言います。 弥生の頃は、金石街道のこの判官石の処から、ここばかりから、ほとんど
仙境のように、桃色の雲、一刷け、桜のたなびくのが見えると、土地で言います。――町....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
知識のごとく、哲人のごとし。女とてかわりはない、おのずから浮世の塵を払って、この
仙境にしばらくなごりを惜んだのでありましょう。 その時はそうとも思わず、ははあ....
「エキゾチックな港街」より 著者:小野佐世男
をのんで生きているような美しい仙女ですよ。およし遊ばせ。ほんとの美人はこのような
仙境に、がいしておるものですわ、オホホホ。お買物ですって駄目! 駄目! 日本語で....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
の霊域を探検して世に紹介しようと思うていた。幸い四十二年八月十二日正午、上高地の
仙境に入門するの栄を得た。 当時、この連峰の消息を知っている案内者は、嘉門次父....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
青草緑苔、石上に敷き、また灌木の渓畔に横たわるあり、野花の岸頭に笑うありて、実に
仙境の趣をなす。石径を攀ずること三十分間にして、天然隧道なる勝地に達す。孤山の中....