代用食[語句情報] » 代用食

「代用食〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

代用食の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
饗応夫人」より 著者:太宰治
えをして置きましょう、と私から奥さまにおすすめして、私たち二人台所で立ったまま、代用食の蒸《む》しパンを食べていました。奥さまは、お客さまには、いくらでもおいし....
おさん」より 著者:太宰治
太郎も、何か両親のそんな気持のこだわりを敏感に察するものらしく、ひどくおとなしく代用食の蒸《むし》パンをズルチンの紅茶にひたしてたべています。 「昼の酒は、酔う....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ので、生活費として女房に二千円しか渡せない、そこで女房が酒と煙草をやめてくれれば代用食をくわないですむのにといわれ、閉口すとなげいてかえる。 十二月二十九日(....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
い、よい。 本陣とは言っても、吉左衛門の家の生活は質素で、芋焼餅なぞを冬の朝の代用食とした。祝言のあった六日目の朝には、もはや客振舞の取り込みも静まり、一日が....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
が出て、停電しちゃったとさ。早く来て、直してくれというんだ。ぐずぐずしていると、代用食《だいようしょく》を作るのがおそくなって、会社へも、おそばをもっていけない....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「そいつぁ驚いた」 と、関守氏と、がんりきと、二人が思わず音《ね》を上げました。代用食類似の不景気な品ではなく、銭とあってみると、たとえ鐚《びた》にしてからが、....
沼のほとり」より 著者:豊島与志雄
ました。黒ずんだ卓子が土間に並んでいて、やはり兵営での面会帰りと見える人たちが、代用食らしい丼物を食べていました。 八重子もそこにはいってゆき、お茶を飲みまし....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
人が昔から日本にだって幾らもあったのだ。おれも禁煙で煙草は楽になったが、もう一つ代用食にも手を出さずに済ます工夫はあるまいかな。気を吸って心を養うのだ。わけなさ....
この握りめし」より 著者:岸田国士
り飯……おれはあんな握り飯がこの世の中に在ることを、すつかり忘れていたんだ」 「代用食の癖がついてるんだ」 「おれの頭は警察法規の活字でいつぱいだつた。たしかに....
だいこん」より 著者:久生十蘭
んのロシアシチュウと、裏の射撃場でつかまえた赤蛙の牛酪炒《ソテエ》とパンがわりの代用食の焼馬鈴薯《やきじゃがいも》が胃袋の中で謝肉祭《カルナヴァル》をはじめ、リ....
うむどん」より 著者:佐藤垢石
へ町会の世話人が大きなビラを配ってきた。それを読んで行くと、米を節約するために、代用食として饂飩と麺包とが大いに奨励してある。これをみて、二人の子供ははしゃぎ立....
たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
の方はあきらめるとして、肉の方だけはこの際なんとかなるまいか。東京では、なにかと代用食が流行しているそうだ。狸もその仲間にできまいか。もし狸肉がなにかの代用食に....
飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
、畑作もの、即ち、粟や稗を常食としているのだが、今年はその粟や稗も殆んど取れず、代用食であるシダミ(楢の実)トチの実もまたよく実らなかったというので、今唯一の食....
うどんのお化け」より 著者:古川緑波
雲呑《ワンタン》の、うまいところなんか、彼女に、きけば、たちまち判る。 戦時、代用食として、焼うどんなどというものを、食わされた。然し、焼うどんてものを、僕が....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
らさらとお茶づけにしたら……ああ久しぶりのごちそうだ。配給の少ない焼け跡暮らしで代用食ばかり食べている今日このごろのこととて昼飯を子供といっしょに待っている。 ....