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以てしても
「以てしても〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
以てしてもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
目に立たぬ細かい皺は残っているはずだ。が、この細かい皺を説明するには千行の説明を
以てしても不十分だ。まして、泛んでは消え、消えては泛ぶ心理の皺は、いや、意識の流....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
いたのだった。言わば、それが彼女の美貌を証拠だてるというわけである。豹一の魅力を
以てしても、結婚を迎える胸騒がしい彼女の気持に打ち勝つことは出来なかった。それに....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
トラーは古代ゲルマン民族の思想信仰の復活に熱意を有すると聞くが、ヒットラーの力を
以てしても、民族の血の中に真生命として再生せしめることは至難であろう。ヨーロッパ....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
走する迄は、難なく行われたことであった。 が、如何に緻密の計画と、巧妙の変装を
以てしても、白昼の非常線を女装で突破することは可なりの冒険であった。 ――樫田....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
南は瀬戸内海に臨んで、まことに天下の形勝である。 石山本願寺時代、信長の雄略を
以てしても本願寺門徒を攻め倒すことが出来ず、十一箇年の星霜を費して、やっと媾和し....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
至るまでの経路を述べた。その如何に波瀾重畳を極めたるかは読者諸君に、私の拙い筆を
以てしてもよくお分りの事と思う。大正六年と云えば正に今より十年前であるが、この時....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
る者とてもひとたびあれなる総門より寺内に入らば、いかなる俗法、いかなる俗界の掟を
以てしても、再び追うことならぬ慈悲の精舎じゃ。衆生済度を旨と致すわれら仏弟子が、....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
うように、上田敏君は「文学界」が生んだ唯一の学者である。その上田君の学者的態度を
以てしてもこの国独自な希臘研究を残されるところまで行かなかったのは惜しい。西欧ル....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
頼み切った家臣の安富元家を此処の南の荘の奉行にしたが、政元の威権と元家の名誉とを
以てしても、何様もいざこざが有って治まらなかったのである。安富は細川の家では大し....
「推理小説論」より 著者:坂口安吾
件とするから、短篇では推理小説のダイゴ味は味わえない。アガサ・クリスチーの天才を
以てしても、短篇推理小説では、読者を魅惑することができないのである。 短篇で推....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
ことだが、貧乏以上の生活というものは呪うべきものだと云っている。それは神の偉大を
以てしても救うことが出来ないから……」斯うまた、彼等のうちの一人の、露西亜文学通....
「呪われの家」より 著者:小酒井不木
ることを、どうしてあなたは発見なさいましたか知りませんが、あなたのその御|炯眼を
以てしても、恐らく私が女であるということは御承知にならないだろうと思います。私は....
「本州における蝦夷の末路」より 著者:喜田貞吉
時代の末頃に、津軽に蝦夷の乱が起ったという事実があります。これは鎌倉幕府の威力を
以てしても、容易に鎮定することが出来なかった程の、盛んなものであったらしいのです....
「『小さな草と太陽』序」より 著者:小川未明
っては、最も自由に、完美に発達をなし遂げることが出来るのであります。何者の権力を
以てしても、この自由を束縛することができない。 私は、童話の世界を考えた時に、....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
れは堪えられません。 悶えると云いますか、悩むと云いますか、世のあらゆる言葉を
以てしてもまだこの心は云い切れません。私は一夜にして百年の年をとったように思いま....