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「仮に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

仮にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
たつもりだった。 「月給は御承知の通り六十円ですが、原稿料は一枚九十銭なんです。仮に一月《ひとつき》に五十枚書いても、僅かに五九《ごっく》四十五円ですね。そこへ....
奇遇」より 著者:芥川竜之介
りも思われない。が、夢でなければ何だと云うと、――僕も答を失してしまう。 「もし仮に夢だとすれば、僕は夢に見るよりほかに、あの家《うち》の娘を見たことはない。い....
」より 著者:芥川竜之介
の壁へよせて、更紗《さらさ》の布《ぬの》をかけた机がある。もっともこれは便宜上、仮に机と呼んで置くが、実は古色を帯びた茶ぶ台に過ぎない。その茶ぶ――机の上には、....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
うのは、その新蔵《しんぞう》と云う若主人が(ほかに差障りがあるといけませんから、仮にこう呼んで置きましょう。)二十三の夏にあった事で、当時本所一つ目辺に住んでい....
或る女」より 著者:有島武郎
んお》の情にかきむしられて前後の事も考えずに別れてしまったのではあったけれども、仮にも恋らしいものを感じた木部に対して葉子がいだく不思議な情緒、――ふだんは何事....
婦系図」より 著者:泉鏡花
先生はお留守、令夫人は御墓参、お妙は学校のひけが遅かった。 二十六仮にその日、先生なり奥方なりに逢ったところで、縁談の事に就いて、とこう謂うつもり....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
批判したラプラスはこの逃げ道を肯定している。ビュッフォンの考えは全く巧妙である。仮に一つの円い木板があるとして、これに鋭利な刃物を打ち込んで、第二十二図に示すよ....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
十日もかかっては問題になりません。それかと言って今の空軍ではとてもダメです。また仮に飛行機の発達により今、ドイツがロンドンを大空襲して空中戦で戦争の決をつけ得る....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
てる場所に……伏屋の建具の見えたのは、どうやら寂びた貸席か、出来合の倶楽部などを仮に使った興行らしい。 見た処、大広間、六七十畳、舞台を二十畳ばかりとして、見....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
時よ、なあ。 これならば立退くであろう、と思うと、ああ、埒あかぬ。客僧、御身が仮に落入るのを見る、と涙を流して、共に死のうと決心した。 葛籠に秘め置く、守刀....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
て一行三人には、目に留めさせるまでもなければ、念頭に置かせる要もない。 「あれが仮に翠帳における言語にして見ろ。われわれが、もとの人間の形を備えて、ここを歩行い....
一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
なるよ。歌は――文学は作家の個人性の表現だということを狭く解釈してるんだからね。仮に今夜なら今夜のおれの頭の調子を歌うにしてもだね。なるほどひと晩のことだから一....
狂人日記」より 著者:秋田滋
崇めよ、跪け! 国家は、戸籍を変える権能を持っているために、殺しても好いのだ、仮にいま二十万人のひとを殺させたとする。すると、国家は戸籍簿からそれらの人の名を....
活人形」より 著者:泉鏡花
説きたるには、泰助も涙ぐみぬ。 美人はまた、「あれ堪忍して下さいましよ。貴女は仮にも母様、恨みがましいことを申して済みませんでした。でももう神様も、仏様も、妾....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
う言葉である。茸訪問については屡々私は一人の案内者を伴うことがある。案内者の名を仮に粂吉と呼ぶ。幾春秋山中の日に焦かれた彼の顔は赤銅色を呈している。翁の面のよう....