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仮寝
「仮寝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仮寝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
なり。 程《ほど》経て白糸は目覚《めざ》ましぬ。この空小屋《あきごや》のうちに
仮寝《うたたね》せし渠の懐《ふところ》には、欣弥が半年の学資を蔵《おさ》めたるな....
「世相」より 著者:織田作之助
》をくりかえしくりかえし書き続けて来た私もまた淀の水車の哀しさだった。流れ流れて
仮寝の宿に転がる姿を書く時だけが、私の文章の生き生きする瞬間であり、体系や思想を....
「俊寛」より 著者:菊池寛
の康頼がいちばんひどかった。彼は、夜中眠られない癖がついてしまったので、昼間よく
仮寝をする。さっきからも、横になったかと思うと、もうかすかないびきを立てている。....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ぬと、すぐ自宅へ引返したという話であった。 押入に残っていた蒲団を出して、一同
仮寝につく。みな疲れと安心とで、ぐうぐう寝込む。 夜中に声あり。出てみると水田....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
五更(午前三時―五時)に至るまで寂然として物音もきこえないので、守る者も油断して
仮寝をしていると、たちまち何物かはいって来たらしいので驚いて眼をさますと、将軍の....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ある日、捕盗の役人を送って行って、駅舎に一宿した。 夜半に燈下に坐して、倦んで
仮寝をしていると、恍惚のうちに白衣の女があらわれて、鍼でそのひたいを刺すと見て、....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
、殿様のお手打にでもさせる工夫はないかと、いろ/\と考え、終いには疲れてとろ/\
仮寝むかと思うと、ふと目が覚めて、と見れば、二|間隔っている襖がスウーとあきます....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
切符。さればお紺の婀娜も見ず、弥次郎兵衛が洒落もなき、初詣の思い出草。宿屋の硯を
仮寝の床に、路の記の端に書き入れて、一寸御見に入れたりしを、正綴にした今度の新版....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
頂上にある古寺で、蚊やりをいぶしながら色々と囀り交わして、夜を更かし、疲れて少し
仮寝したかと思うと、 「おうい、みんな起きて来て見ろ、霧の海だ」 「霧の海だ。島....
「神経」より 著者:織田作之助
乗り移り、洋菓子やチョコレエトを買わず、駄菓子の飴を買うて、それでわびしい安宿の
仮寝の床の寂しさをまぎらしていたところに、その娘の悲しい郷愁が感じられるような気....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
の名も、国神塚といえるがこのあたりにあるより称えそめしなるべし。 今宵は大宮に
仮寝の夢を結ばんとおもえるに、路程はなお近からず、天は雨降らんとし、足は疲れたれ....
「狐」より 著者:岡本かの子
三 再び鈴懸の仮寓。夜更け、燈火の灯影に鈴懸炬燵にあたって、
仮寝している。霰の音。戸を叩く音。 ――誰だ戸を叩くのは。 ――あの……ちょっと....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
』『秀歌大体』『秀歌大略』中心の定家主義が打ち立てられたことである。明応八年の『
仮寝能寸佐美』にも、 問云、如何やうの歌を本として学ぶべきぞや。 答、同卿(定家....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
のである。私の親愛な友人は私を大きな寝台に寝かしてくれて、自分は談話室のソファを
仮寝台にこさえさして寝た。そうして、さて改まって私を朝鮮の王様と披露した。 朝....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
を躍り越え跳ね返りながらたぎり落ちて来る黒部川の水声は、地響を打って、終夜私達の
仮寝の床を震蕩していた。 三十一日。依然として天気模様は好くない。風の方向も不....