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「仮色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

仮色の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
れだけならまだ好いが、彼は長火鉢《ながひばち》の前へ坐《すわ》ったまま、しきりに仮色《こわいろ》を遣《つか》い出した。しかし宅のものは別段それに頓着《とんじゃく....
」より 著者:夏目漱石
ん》に挨拶《あいさつ》の言葉が交換されていた。その間にはちりんちりんと云う電話の仮色《こわいろ》も交った。すべてが宗助には陽気で珍らしく聞えた。 そこへ奥の方....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ょやく》見たようなものだろうと思います」東風子はさっき、その人物が出て来るように仮色《こわいろ》を使うと云った癖に遣手や仲居の性格をよく解しておらんらしい。「な....
婦系図」より 著者:泉鏡花
ある。 はたと主税と面を合わせて、 「兄哥!」 「…………」 「不可えぜ。」と仮色のように云った。 「何だ――馬鹿、お連がある。」 「やあ、先生、大変だ。」 ....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
を渡します。扨渡すと金が懐へ入りましたから、気が大きくなり 又「どうだい、番頭の仮色を遣って金を預けさせるようにした手際は」 まア愉快というので、お酒を喫べて....
」より 著者:島崎藤村
たり震えたりした。 酒も冷く成った。 ボーンという音が夜の水に響いて聞えた。仮色を船で流して来た。榊は正太の膝を枕にして、互に手を執りながら、訴えるような男....
三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
から、やさしいことらしい。死顔と、生顔とは相好の変るもの――) と、肚の中で、仮色《こわいろ》の真似をしてみた。 十九 湯の中は、薄暗くて――乏しい....
明治座の所感を虚子君に問れて」より 著者:夏目漱石
を入れなかった。しかし自分の兄共は揃《そろい》も揃って芝居好で、家にいると不断|仮色《こわいろ》などを使っているから、自分はこの仮色を通して役者を知っていた。そ....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
音も氷る細き流れの幾曲、すえは田川に入谷村、 その仮声使、料理屋の門に立ち随意に仮色を使って帰る。 ※|廓へ近き畦道も、右か左か白妙に、 この間に早瀬|主税、お....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
畜生、申し旦那え、成程只今山出しの多助が云う通り、斯うやって草鞋穿になり田舎者の仮色を遣い、大勢を騒がし、首尾よく往った所が唯た八十両、成程是れは小せえ、それに....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、病気揚句だ、夜更しをしては宜くないからお帰りと、こう言うのだ。汝またかりん糖の仮色を使って口上を忘れるな。」 坐睡をしていたのか、寝惚面で承るとむっくと立ち....
法然行伝」より 著者:中里介山
眼房は、 「心が戒体じゃ」という議論をたてる。法然は、 「性無作《しょうむさ》の仮色《けしき》が戒体でございます」という議論を立て、両々相譲らず、永い間議論をし....