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仮象
「仮象〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仮象の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
し出している、その毎日であった。そしてその不思議な日射しはだんだんすべてのものが
仮象にしか過ぎないということや、
仮象であるゆえ精神的な美しさに染められているのだ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
な人々と同情の人であることが出来ない。私にはまださもしい未練が残っていて、凡てを
仮象の戯れだと見て心を安んじていることが出来ない。そこには上品とか聡明とかいうこ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ように呟いてから、再び旧どおり冷酷な表情に返って、法水を見た。「ですから、実体が
仮象よりも華やかでないのは道理ですわ。しかし、そんなハム族の葬儀用記念物よりかも....
「春六題」より 著者:寺田寅彦
元の座標軸の内に整然と排列し刻み込んだ事でなければならない。夢幻的な間に合わせの
仮象を放逐して永遠な実在の中核を把握したと思われる事でなければならない。複雑な因....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
である。実在として現われてくる個々の人々は面倒くさがり軽蔑する。そして人類という
仮象に向かって自己興奮の甘い涙をこぼす。その人類はいやらしい顔も、卑しき声も持た....
「イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
ない。どのイデオロギーも単に一個のイデオロギーとして、斉しく真理の仮面をかぶった
仮象に過ぎないことを吾々は彼から聞くに過ぎなかった。イデオロギーの優劣を組織的に....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
ェンス)の問題の中にあるのであって、インテリが一まず一つの社会層であるかのような
仮象を取り得るのも全く、この知能を標識とする限定以外に限定の原理がないのだが、こ....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
のであり、それは同時に、ロマンティシズムとは実在=現実のそれだけ主観的で観念的な
仮象に帰するものだという主張を意味する。第三はこの一歴史的範疇に過ぎぬロマンティ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ジーと文武官僚との根本的な対立の方が著しく眼に立ったのである。 勿論この表面の
仮象はファシズム一般としても当然なことで、民間のファッショ団(主として小市民・農....
「辞典」より 著者:戸坂潤
も与え得ない理性が、経験界を超越したこの物自体に就いて何かを規定し得るかのような
仮象を産むのが事実である。この超越的(先験的)
仮象の論理(批判)がカントの名づけ....
「リギ山上の一夜」より 著者:斎藤茂吉
た。実用向の鈴が、遍歴する旅人の耳には実用向でなくきこえる。一体、「仮感」とか「
仮象」とかいう審美論者の説にも、やはり根ざすところがあるのである。 紅い木の実....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
幾多の女性が、あちらこちらに往き来していた。……然し、私にとっては、彼女等は凡て
仮象に過ぎなかったのだ。私にとって真に現実なのは、眼に見えない「理想の女」のみだ....
「情意の干満」より 著者:豊島与志雄
に置き忘れられて、私はぼんやり君のことを夢みている。夢想のなかの君が現実であるか
仮象であるか、私は知らない。何れにせよ、私にとっては、君であることに変りはない、....
「(私はさきごろ)」より 著者:高村光太郎
われたものであろうし、結局それは一つの仮設の世界のものであり、伝説的存立としての
仮象であるから、彼の自らつくる神なりクリストなりマリアなりが、彼の内なる生きた神....
「美術学校時代」より 著者:高村光太郎
た。 みんなはそれぞれと質問をし、疑問の点を尋ねた。その時に生徒の一人が、先生
仮象というのは何ですかと言い出した。そうすると鴎外先生はひどく怒ってしまい、
仮象....