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「仰ぎ見る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

仰ぎ見るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
たき火」より 著者:国木田独歩
方《かた》を前にして立ち体《たい》をそらせ、両の拳《こぶし》もて腰をたたきたり。仰ぎ見る大ぞら、晴に晴れて、黒澄《くろす》み、星河《せいか》霜《しも》をつつみて....
富士」より 著者:岡本かの子
こういうことを考えている。これが同じ地上に在って眺めらるものの姿であるのか。この仰ぎ見る天空の頂は麓の土とどういう関係に在るのか。麓はよし地上の山にしろ、頂はそ....
日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
、富士山の線の美しさを、夢想にもしなかったらしい、東海道の吉原から、岩淵あたりで仰ぎ見る富士山の大斜線は、向って左の肩、海抜三七八八米突から、海岸の水平線近く、....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
を引連れて内に入る、藻西太郎は泣止みて起直り、寝台の上に身を置きしまゝ目科の顔を仰ぎ見るさま、痛く恐を帯びたるか爾なくば気抜せし者なり、余は目科の背後より彼れの....
五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
られた。後からきた坊城が、「ほらみろ叱られたろう」というような笑い方をしている。仰ぎ見ると十数町の大傾斜が空の下に横たわる。それを上の方から豆つぶのような人が三....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
、どやどやと人々入来りて木沢を取巻くように坐る。臙脂屋早く身退りし、丹下は其人を仰ぎ見る、其眼を圧するが如くに見て、 「丹下、けしからぬぞ、若い若い。あやまれあ....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
でなく、土の凸凹でもなく、かえって法廷を進退する公事訴訟人の風采、俤、伏目に我を仰ぎ見る囚人の顔、弁護士の額、原告の鼻、検事の髯、押丁等の服装、傍聴席の光線の工....
黒百合」より 著者:泉鏡花
たんだ。」 言いさま整然として坐り直る、怒気満面に溢れて男性の意気|熾に、また仰ぎ見ることが出来なかったのであろう、お雪は袖で顔を蔽うて俯伏になった。 「どう....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
ない星空を仰ぐのを忘れていた。…… 二人は肩を寄せ合ったまま、深遠なる星の夜空を仰ぎ見る。 文麻呂 僕達は自由だ。……なよたけ! もう、僕達の幸福を邪魔するもの....
迷信解」より 著者:井上円了
僧、ある夜深更まで読書し、精神大いに疲労を覚えしかば、しばらく休憩せんとて庭前を仰ぎ見るに、折しも宵月夜のころなれば、月もはや落ちて暗かりけるが、縁の端にだれと....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
りに来て居った人が沢山ありまして、それらの人は皆涙を流して尊者の巌上にござるのを仰ぎ見る者もない位で、中には地に俯伏せになって大いに声を挙げて泣き立てる者が沢山....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
匿したく存じます。そのほうが御前にありながら、いまのようにただ遠方からのみ陛下を仰ぎ見る連中に成り下がっているよりか、どんなに嬉しうございましょう」 彼は口説き....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
は 知っていらっしゃって。只今はどんな時でしょう。 メフィストフェレス(仰ぎ見る。) 星が飛びっ競をしている。闕けた月が明るく 照っている。己は旨い所で....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
た風情のあるものですが、ダリヤのように濃艶だった綾子さんが、まるで夕闇に浅黄桜を仰ぎ見るような物寂しさに変っては、風情があるなどと云ってはいられません。最初病気....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
三度虚空に捩れて、螺旋状に拡りながら霧の如き飛沫を噴いて、大釜に跳り込んでいる。仰ぎ見ると上流は、樺や栂の類が崖の端から幹と幹、枝と枝とをすり合せて奥へすくすく....