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仰のけ
「仰のけ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仰のけの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
…。あ、これで点けるわ」 蚊やり線香の火で、はすっぱに吸いはじめたが、いきなり
仰のけになると、じっと天井を見つめていた。 眼がピカピカ光っていた。そして、暫....
「象牙の牌」より 著者:渡辺温
弾が込っていようなんて思いもかけやしませんでした。ドオン! と云う銃声ともろとも
仰のけざまにぶッ倒れた時には、実にすさまじい勢で打ち倒れたのですが、私たちは鳥渡....
「黒髪」より 著者:近松秋江
、蒼白く靄の立ちこめた空には、ちょうど十六、七日ばかりの月が明るく照らして、頭を
仰のけて眺めると、そのまわりに暖かそうな月暈が銀を燻したように霞んで見えている。....
「氷蔵の二階」より 著者:宮本百合子
あ、あすこ。あすこは駄目だ」 志野は、二十三にしては小柄で若々しく白い喉をふり
仰のけるようにしてころころと笑った。 「あすこは明かないわよ、釘づけだもん」 「....
「電車の見えない電車通り」より 著者:宮本百合子
だよ」 「おい、おい、車掌忘れてっちゃ困るよ」 そして、ハハハハとカンカン帽を
仰のけて笑った。別に続いて笑うものもいない。―― 遂に×橋行に私が乗りこむと、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
師匠と忠次郎に、政左衛門が体当りをされて、後ろの戸へ突き当てられて、雨戸が外れて
仰のけに倒れたが、起きるところを続けて腹を打たれた。この日はそれきりで仕舞ったが....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
八の娘で、合掌は組んで居るが、変死と見えて上歯で下唇を噛みまして、上眼をつかって
仰のけになって居るから、はてなこれは変死だなと能く見ると、自分の縁類なる東浦賀の....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
。」と、新子も真面目に肯いて読みつづけた。 準之助氏は、本を読んでいる新子と、
仰のけに寝ながら、新子の読む声に聞き惚れて、美しい黒目を一章一章に、うごかしてい....
「麻酔剤」より 著者:田中早苗
を……早く早く……』 けれども、もう手遅れでした。可哀そうに、彼女はぐったりと
仰のけに首を垂れ、その碧眼は、眼瞼をあげられたまま、きょとんと私の方を見ています....