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仰向く
「仰向く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仰向くの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「永日小品」より 著者:夏目漱石
い画を、五銭で屑屋《くずや》に売り払った。 火事 息が切れたから、立ち留まって
仰向くと、火の粉《こ》がもう頭の上を通る。霜《しも》を置く空の澄み切って深い中に....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
着物が……」と、往来を通る者が見つけて騒ぎ出したので、近所の人達も表へ駈け出して
仰向くと、赤い着物の一枚はさながら魂でも宿ったように物干竿を離れて、ゆう闇の中を....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
、一人の、中年増の女中がちょいと浮腰で、膝をついて、手さきだけ炬燵に入れて、少し
仰向くようにして、旅商人と話をしている。 なつかしい浮世の状を、山の崖から掘り....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
を貸す爺婆だろうと思ったよ。」 と民弥は寂しそうなが莞爾した。 梅次がちっと
仰向くまで、真顔で聞いて、 「まったくだわねえ。」 「いや、」 民弥は、思出し....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
味さに違いない。 女房は行きがけに、安手な京焼の赤湯呑を引攫うと、ごぼごぼと、
仰向くまで更めて嗽をしたが、俥で来たのなどは見た事もない、大事なお花客である。た....
「墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
が最も少ないのであります。 それからまた貝殻を幾個か投げてみますと、それがみな
仰向く場合と、みな伏さる場合は最も少なく、約半分仰向き、約半分伏さる場合、あるい....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
が煩い。この燈を消して、隣室のを点けておくれな。」 その間、頸脚が白かった。振
仰向くと、吻と息して、肩が揺れた、片手づきに膝をくねって、 「ああ、酔って来た、....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
間に溢れると謂うのである。 かかる優美な人物が、客に達するに(はあ、)の調子で
仰向くとなっては、いささか性格において矛盾するようであるが、これをいう前に、その....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
、懐にあった剃刀を啣えたと思いねえ。硝子戸の外から覗いてた、私が方を仰向いての、
仰向くとその拍子に、がッくり抜けた島田の根を、邪慳に引つかんだ、顔色ッたら、先刻....
「上海」より 著者:横光利一
た疲れ腰。足と足と、肩と腰との旋律の上で、三色のスポットが明滅した。輝やく首環、
仰向く唇、足の中へ辷る足。 宮子はテープの波を首と胴とで押し分けながら、ひとり....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
遊びで、どこともなく陽気なものでございます。一体空を見るのは薬だというので、皆|
仰向くような遊びでございますから、紙鳶をびい/\/\と揚げますれば、是非子供は空....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
く死の恐れに、逆上しての、気ちがい元気ではあるまいな」 程よい所に足をとめて、
仰向くと、 「だまれっ」 武蔵の再びいう声だ。 元気というよりは怒気であった....
「それから」より 著者:夏目漱石
いた。そうして金縁の眼鏡を掛けて、物を見るときには、顎《あご》を前へ出して、心持
仰向く癖があった。代助はこの男を見たとき、何所《どこ》か見覚のある様な気がした。....