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「仲春〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

仲春の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
夕日の富士が、画にかいた「理想」の様に遠くて美しかった。 (七)仲春 四月十七日。 戸を開けて、海――かと思うた。家を繞って鉛色の朝霞。村....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
描いた額面を見上げている。今に始まったことではない。「安政二年|乙卯《きのとう》仲春、為岡本楼主人之嘱《おかもとろうしゅじんのしょくのため》、一勇斎国芳写」と銘....
」より 著者:鷹野つぎ
わり可愛がってくれるのがその頃の私の病苦の何よりの薬療であった。 転室した日は仲春の爽やかな昼すぎで、新らしく定められたそこの二階の私のベッドには、南の窓が開....
死者の書」より 著者:折口信夫
て居る。笠は、浅い縁に、深い縹色の布が、うなじを隠すほどに、さがっていた。 日は仲春、空は雨あがりの、爽やかな朝である。高原の寺は、人の住む所から、自ら遠く建っ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
んでいる……。 膚さむい微風の底に、何がしの人の心を唆《そそ》らずにはおかない仲春のいろが漂って、どこか遠くの町に火事があるのか、かすかに間《ま》伸びした半鐘....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
ような影を拡げて、それを観客席に押し出して行くのだった。 然し、その熟れ爛れた仲春の形容は、一方に於いては、孔雀の肢体そのものだった。 孔雀は丈高く、全身が....
藪の鶯」より 著者:三宅花圃
男少女のいまだ婚姻しないものなら。婚姻の手段の一端にて。支那《しな》にいわゆる|仲春会男女《ちゅうしゅんなんにょをかいす》という工合もあろう。それでもマア淫風《....
私本太平記」より 著者:吉川英治
筆で、 相模ノ国の住人 本間九郎|資貞が子、源内兵衛資忠、生年十八歳 正慶二年|仲春二日 父が死骸を枕にして 同じ戦場にて命をとどめ畢んぬ と、書きのこされた....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
れと、自分の景仰する古人に対して、当然な、礼としても、私は畏れる。 昭和十四年・仲春 於草思堂 英治生 屋上、屋を架す。という語がある。 この書は、たしかに....