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任地
「任地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
任地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
はあいつをひやかしたものだ。それからまた半月ばかりの後《のち》、千枝子夫婦は夫の
任地の佐世保《させほ》へ行ってしまったが、向うへ着くか着かないのに、あいつのよこ....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
港をあとにして、目的地たる花陵島へといそぐのであった。 花陵島! そこは僕の赴
任地なのだ。 僕――理学士大隅圭造は、花陵島にある地震観測所へ、いま赴任の途に....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
あの国は、学歴さえあれば造作なく士官になれる。で俺は、一通り号令をおぼえたころ、
任地に送られた。これが、『蕨の切り株』に大分近くなっている、ピルコマヨ堡塁線中の....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
たちは半年前の秋に論文が通過して、試験所研究生終了の証書を貰ってそれぞれ約定済の
任地へ就職して行った。彼は、鼎造にしばらく帰京の猶予を乞うて、論文を纏めれば纏め....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
興三十二年、劉子昂は和州の太守に任ぜられた。やがて淮上の乱も鎮定したので、独身で
任地にむかい、官舎に生活しているうちに、そこに出入りする美婦人と親しくなって、女....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ていた。 そのうちに任期が満ちて、彼は山東の別駕に移されたので、家族を連れて新
任地へ赴く途中、荏平という所の旅館に行き着いた。その旅館には一つの楼があって、厳....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
士は俄かに容を改めて、その風変りな書面を押し戴いたことだった。 「――ぜひ、わが
任地に来れ。大きな声ではいえないが、わしも近いうちに、大使館を馘になるのでのう。....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
可いけれど、私は何だか一所に居るのが嫌だから、金沢に残ることにして、旦那ばかり、
任地へ行くようにという相談をしたが不可なくって、とうとう新潟くんだりまで、引張り....
「死者の書」より 著者:折口信夫
る資人・※仗も、大貴族の家の門地の高さを示すものとして、美々しく著飾らされて、皆
任地へついて行った。そうして、奈良の家には、その年は亦とりわけ、寂しい若葉の夏が....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
ね。 綾麻呂 (しんみりと)ま、いずれは別れねばならない運命だったのさ。 文麻呂
任地にお着きになっても、身体だけは充分に気を付けて、御病気にならないように注意し....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
亭の一生|鞭撻してやまなかった心の艱みが見えておる。 尾州から父に伴われて父の
任地島根に行き、殆んど幼時の大部分を島根に暮した。その頃の父の同僚であって叔姪同....
「妖影」より 著者:大倉燁子
が癖になってしまって、日に何度となくやる。大切な暗号を胴中に巻いているのだもの。
任地に着いて無事にそれを手渡しするまでは安心がならない、従って責任はなかなか重く....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
密告した者さえあった。それがために宮本氏は憤死したとさえ伝えられているが、実際は
任地で風土病にかかって死んだのだった。 両人の関係を承知の上で、大谷伯爵が自分....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
たものであった。 S夫人! 私はもうすっかり疲れてしまいました。 こんどの
任地では徹頭徹尾失敗です。夫の愛は彼女に奪われ、在留民からは異端者のように白い眼....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
ことで、まだS夫人の夫の博士がシャム国政府の顧問官でいた時代で、その頃夫人も夫の
任地へ赴いて、そこで二三年の月日を送っていたことがあった。 「その当時のことなん....