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伏
「伏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
伏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
私の逡巡《しゅんじゅん》に早くも気がついたと見えて、今まで袴《はかま》の膝の上に
伏せていた視線をあげると、半ば歎願するように、怯《お》ず怯《お》ず私の顔色《かお....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
もうこうなっては侍たちも、ほかに仕方はございませんから、とうとう大臣様の前にひれ
伏して、
「実は私《わたくし》たちが悪だくみで、あの髪長彦の助けた御姫様を、私た....
「影」より 著者:芥川竜之介
と同じであった。
陳彩《ちんさい》は部屋の隅に佇《たたず》んだまま、寝台の前に
伏し重《かさ》なった、二人の姿を眺めていた。その一人は房子《ふさこ》であった。―....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
一人、――日本ではまだ見た事のない、堂々とした体格の女が一人、大きな桶《おけ》を
伏せた上に、踊り狂っているのを見た。桶の後ろには小山のように、これもまた逞《たく....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ました。もちろん大きい雄の河童はたちまち小さい河童をつかまえ、往来のまん中へねじ
伏せました。小さい河童は水掻《みずか》きのある手に二三度|空《くう》をつかんだな....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
じく》の前へ、丁寧に円い頭を下げた。軸は狩野派《かのうは》が描《か》いたらしい、
伏羲文王周公孔子《ふくぎぶんおうしゅうこうこうし》の四大聖人の画像だった。
「惟....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
眠り薬が仕こんであった。
しばらくの後《のち》、桂月香と彼女の兄とは酔《よ》い
伏した行長を後《あと》にしたまま、そっとどこかへ姿を隠した。行長は翠金《すいきん....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
アニマ》を奪い合う天使と悪魔とを見ているのである。もしその時足もとのおぎんが泣き
伏した顔を挙げずにいたら、――いや、もうおぎんは顔を挙げた。しかも涙に溢《あふ》....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
いながら、内蔵助《くらのすけ》は眉をのべて、これも書見に倦《う》んだのか、書物を
伏せた膝の上へ、指で手習いをしていた吉田忠左衛門に、火鉢のこちらから声をかけた。....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
の間《ま》の食卓に向った。食卓の上には、昨夜《ゆうべ》泊った叔母《おば》の茶碗も
伏せてあった。が、叔母は看護婦が、長い身じまいをすませる間《あいだ》、母の側へそ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
たばこ》を口へ啣《くわ》えたまま、マッチをすろうとする拍子《ひょうし》に突然|俯
伏《うつぶ》しになって死んでしまった。いかにもあっけない死にかたである。しかし世....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
村の伯父《おじ》を尋ねに、Nさんはまた同じ村の籠屋《かごや》へ庭鳥《にわとり》を
伏せる籠を註文《ちゅうもん》しにそれぞれ足を運んでいたのだった。
浜伝《はまづ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
どうか私の申すことを御聞き入れ下さいまし」 やがてあの魔法使いが、床の上にひれ
伏したまま、嗄れた声を挙げた時には、妙子は椅子に坐りながら、殆ど生死も知らないよ....
「墓」より 著者:秋田滋
いた。 墓番のヴァンサンは、やにわにその浅ましい男に躍りかかると、たちまち組み
伏せてしまい、両手を縛りあげて、その男を交番へ引ッ立てて行った。 その男は町の....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
たり。「蘭の鉢を庭へ出せよ」と物柔らかに命じながら主公出で来られぬ。座を下りて平
伏すれば、「イヤ御遠慮あるな伯父ごとは莫逆の友なり、足下の事は書中にて承知致した....