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「伏勢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

伏勢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
碧蹄館の戦」より 著者:菊池寛
河幅三四町に及ぶが、橋が無いので渡れない。対岸を望むと船が多く繋いであるが、敵の伏勢が居ないとも限らない。清正|暫く眺めて居たが、『鴎が浮んで居る処を見ると敵軍....
平馬と鶯」より 著者:林不忘
装束が蟻の群のように、橋の上へ這い上った。十人。十五人。二十人。三十人――結城の伏勢である。 ここで霧の中の月見橋の上に、一大争闘の場面が現出したが、結果は分....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
た奴がある。密告をした奴がある。味方に裏切りをした奴か、そうでなければ、道庵方の伏勢のために乗ぜられたのではないか、という疑心が増長してみると、 「そうだ、道庵....
丹下左膳」より 著者:林不忘
をしたかと思うと、そのままガックリと地にくずれてのけぞった。 思わぬ時に意外な伏勢! しかも、薄明の夜に防ぎようのない魔の手裏剣である! 即座に、一同のあ....
武蔵野」より 著者:山田美妙
人が踏んだような痕の見える草の間などをば軽々しく歩行かない。生きた兎が飛び出せば伏勢でもあるかと刀に手が掛かり、死んだ兎が途にあれば敵の謀計でもあるかと腕がとり....
西荻随筆」より 著者:坂口安吾
。 大きな奥深い店に客の姿がなく、バーテンと女給が一人いるだけであるが、どこに伏勢があるとも分らぬ昨今の状勢であるから、敬々しく一礼して、こちらへ坂口アンゴ氏....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
面々声掛け合わせ、ムラムラと民弥へ押し逼った。 仰天したのは民弥である。こんな伏勢があろうとは、夢にも想像しなかった。 「これは大変なことになった。……もうこ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
も、何処までも、仙波の家だけは、助けてくれないもののように思えた。 追手だの、伏勢だの、役人だの、いろいろの者が、自分達の周囲に潜んでいるようにも感じた。七瀬....
学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
て織田信長《おだのぶなが》を攻めんとせしとき、信長の策にて桶狭間《おけはざま》に伏勢《ふせぜい》を設け、今川の本陣に迫りて義元の首を取りしかば、駿河の軍勢は蜘蛛....
註文帳」より 著者:泉鏡花
ただは遁げようたあ言わないから、出来るだけ仕事をさせろ。愚図々々|吐すと、処々に伏勢は配ったり、朝鮮伝来の地雷火が仕懸けてあるから、合図の煙管を払くが最後、芳原....
三国志」より 著者:吉川英治
「引っ捕えて糺せ」と、数十騎を向けて、徐晃の幕舎をつつみかけた。すると、曹操の伏勢が起って、それを追い退け、満寵は徐晃を救いだして、共に、曹操の陣へ逃げて来た....
三国志」より 著者:吉川英治
められていた。 常備の番兵に、屈強な兵が、千騎も増されて付近の高地や低地にも、伏勢がひそんでいた。 関羽が、東嶺関を破って、孔秀を斬り、これへかかってくると....
三国志」より 著者:吉川英治
、伏兵があるにちがいありません」 「何を、ばかな」 夏侯惇は一笑に付して、 「伏勢があれば伏勢を蹴ちらすまでだ、これしきの敵、たとえ十面|埋伏の中を行くとも、....
三国志」より 著者:吉川英治
て、また行く手の方に、猛気旺な一軍の来るのとぶつかったが、これは死地を設けていた伏勢ではなく、南郡(湖北省・江陵)の城に留守していた曹一族の曹仁が、迎えに来たも....
春泥」より 著者:久保田万太郎
笛だ。――矢っ張それもはじめに趣向して、どしこと虫屋から仕入の、あっぱれ草の中へ伏勢を置いたのはいゝ、いざとなるとその騒ぎだ、驚いて此奴が一匹だって鳴いてみせね....