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伏目
「伏目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
伏目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
気がした。と同時にそれを切り出された場合、答うべき文句も多そうな気がした。しかし
伏目《ふしめ》勝ちな牧野の妻が、静《しずか》に述べ始めた言葉を聞くと、彼女の予想....
「路上」より 著者:芥川竜之介
あった。が、その言葉がまだ口の外へ出ない内に、彼の頭の中へは刹那《せつな》の間、
伏目になった辰子の姿が鮮かに浮び上って来た。と、ほとんどそれが相手に通じたかのご....
「星座」より 著者:有島武郎
す。どうか悪《あ》しからず」
とできるだけ言葉少なに思いきっていってしまった。
伏目になったおぬいさんの前髪のあたりが小刻みに震《ふる》えるのを見たけれども、そ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ない旦じゃねえか。」 「可いよ。私が承知しているんだから、」 と眦の切れたのを
伏目になって、お蔦は襟に頤をつけたが、慎ましく、しおらしく、且つ湿やかに見えたの....
「海異記」より 著者:泉鏡花
だのな、飴だのな、いろんなものを買って来るんだ。」 女房は何となく、手拭の中に
伏目になって、声の調子も沈みながら、 「三ちゃんは、どうしてそんなだろうねえ。お....
「蠅男」より 著者:海野十三
り気なく糸子の言外の言葉を外して、ただ一筋に彼女を激励した。糸子はあとは黙って、
伏目勝ちに帆村の傍で空になった盆を頻りに撫でて居た。今更説明する迄もあるまいが、....
「春昼」より 著者:泉鏡花
引いたかと思う、これに眩くばかりになって、思わずちょっと会釈をする。 向うも、
伏目に俯向いたと思うと、リンリンと貴下、高く響いたのは電話の報知じゃ。 これを....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
の姐さんに、どうぞお力をお添え下さい。」 と言った。面が白蝋のように色澄んで、
伏目で聞入ったお澄の、長い睫毛のまたたくとともに、床に置いた大革鞄が、揺れて熊の....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
が、空は折から薄曇りである。 法師もこれあるがために暗いような、和郎の影法師を
伏目に見て、 「一ツ分けてやりましょうかね。団子が欲しいのかも知れん、それだと思....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
乳首の深秘は、幽に雪間の菫を装い、牡丹冷やかにくずれたのは、その腹帯の結びめを、
伏目に一目、きりきりと解きかけつつ、 「畜生……」 と云った、女の声とともに、....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
なく、日南でなく、土の凸凹でもなく、かえって法廷を進退する公事訴訟人の風采、俤、
伏目に我を仰ぎ見る囚人の顔、弁護士の額、原告の鼻、検事の髯、押丁等の服装、傍聴席....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
聞くうちに、差俯向いて、両方引合せた袖口の、襦袢の花に見惚れるがごとく、打傾いて
伏目でいた。しばらくして、さも身に染みたように、肩を震わすと、後毛がまたはらはら....
「露肆」より 著者:泉鏡花
横に掠めて後毛をさらりと掛けつつ、ものうげに払いもせず……切の長い、睫の濃いのを
伏目になって、上気して乾くらしい唇に、吹矢の筒を、ちょいと含んで、片手で持添えた....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
が、探険――山開きをなさいましたんですね。」 先達は額に手を当て、膨れた懐中を
伏目に覗いて、 「御意で、恐縮をいたします……さような行力がありますかい。はッは....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
っちりと※いたが、流を見入って、疲れたか、心にかかる由ありしか、何となく弱々と、
伏目になってうつむいて、袖口を胸で引き合わすと、おのずからのように、歩が運んで、....