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休安
「休安〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
休安の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一本の花」より 著者:宮本百合子
とその上の芝との倒影がある。水に一しお柔かな緑が、朝子の活字ばかり見ていた眼に、
休安を与える。微かなくつろぎに連れ、そんなとき、朝子の心に、例の引っぱりが感じら....
「伸子」より 著者:宮本百合子
行くためには、伸子は、生半可の力を費したのではない。普通、娘が母親に抱く懐しさ、
休安と、正反対の生活燃焼の、異様な閃光《せんこう》が二人の間にあった。今その門を....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
のような気分の錯綜のみを感じているうちは、彼の不幸な魂にとって、またと得られない
休安であった。絶えず朝と晩とを徹して彼を虐げるあらゆる不安も、焦躁も、冷笑も、そ....
「南路」より 著者:宮本百合子
渡り、車輪や荷担ぎの騒音を超えて、そのリズミカルな鐘の音は、云いようない暖かさと
休安とを旅人の心に注ぎ込むのである。 始めて紐育《ニューヨーク》へ着いてこの鐘....
「芸術が必要とする科学」より 著者:宮本百合子
画家はどの程度にまで自分の絵を鑑賞しようとする人々の生理的な条件――その疲労とか
休安とかの実状を考慮に入れているであろうかと、こと新たな省察を深められた。 勤....
「自然描写における社会性について」より 著者:宮本百合子
生がある。ここの中から過去の歴史になかった文学が生れはじめている。安らかにそこで
休安することのできるような自然らしい自然を持たない民衆の生活の闘いから誕生する文....
「若き精神の成長を描く文学」より 著者:宮本百合子
困難にまでふれて描き出そうとした作品はほとんどなくて、おおかたは大人の心がそこに
休安を見出すよすがとして工合よく配置された稚い世界を扱った作品であったことも忘れ....
「私たちの建設」より 著者:宮本百合子
ろしいばかり各方面から求める労働力の細切りのため、ちぎれちぎれになって、家らしい
休安の思いは消し去られた。 食糧問題が円滑に進まないために、もうこの頃から買出....
「祖母のために」より 著者:宮本百合子
高く立ち去って行く。決して生と死との争闘ではなかった。充分生きた魂の自然な離脱、
休安という感に打れた。八十四歳にもなると、人はあのように安らかに世を去るものなの....
「働くために」より 著者:宮本百合子
しい、ということだった。 衣類の本当の合理化は、その人々の働きの種類によって、
休安の目的によって形も地質も考えられるのが当然である。 人の働きもいろいろで、....
「有島武郎の死によせて」より 著者:宮本百合子
十六歳はあれ程危険な年齢か。 彼の青年時代から引続いた精神的緊張の疲労が、深い
休安、慰撫を求めて居た時、ああ云う消極的の愛が、あれ程積極の力を出して、彼に働き....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
をもっているのだから、或年齢までそれでやって後結婚すると幸福だと云い幸福を平凡と
休安に規定しているところは彼の進歩性を語っているではありませんか。 八月二十日....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ろ、それは文字どおり品質のよい芸術がそういう描写において常に失わない精神の諧調と
休安とを伴っているものです。詩集にふれて、あなたでさえこうおっしゃると、何となし....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
において、横になるとき一寸さわって、あああると思って、眠るという風です。深い深い
休安、そして安息。心が肉体をとおしてだけ語れる慰安。そこにある優しさを、立派な人....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
は綺麗なからだであろうとも、何でもいい、誰でもいい、はいって来る者にはいっさいの
休安と保護とを与えて、出て行くまでとめておくのが、この、浮世とは関係《かかわり》....