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「伝票〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

伝票の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
《いた》ましい目《ま》なざしだけであった。 自分は眼を伏せたまま、給仕の手から伝票を受けとると、黙ってカッフェの入口にある帳場《ちょうば》の前へ勘定に行った。....
指と指環」より 著者:佐左木俊郎
せた細い魅力の無い指だった。 「まあ、なんでもいいよ。」 「でも……」 鉛筆で伝票を敲《たた》きながら女給は微笑んだ。 「じゃ、カクテルをもらおう。」 彼は....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
るい妙な大阪訛で男がいった。これは聴き洩さなかった。聴き洩すと、恥になる。豹一は伝票を掴んで立ち上った。 勘定を払って表へ出ると、男はしきりに洟をかみながら待....
わが町」より 著者:織田作之助
「そら、行かれんことあれしめへんけど……」 「そんなら、待ってます」 次郎は伝票を掴んで、 「――出ましょうか」 立ち上りざまに言った。 「ええ」 と、....
縮図」より 著者:徳田秋声
大川の舟遊びも盛っていた。松次は看板借りであり、鳥屋で昼間からの玉数も記入された伝票をもらうと、舟遊びはサアビスに附き合ったのだったが、さっそく分松の家で衣裳を....
もくねじ」より 著者:海野十三
、倉庫係のおじさんが機嫌をとり直して、ほがらかな声を出す。 「じゃ貰っていくよ。伝票はさっきそこに置いたよ」 「あいよ。ここにある」 それからぼくたちは、若い....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
、彼女に云いたまえ」 「ええ、云いますとも」 蓬莱和子は、ハンドバッグをあけ、伝票と共に、カウンターにお札をつきつけると、仁科六郎に挨拶もしないで喫茶店を出た....
田舎者」より 著者:豊島与志雄
いなかった。サチ子が眠そうな眼で笑っていた。マダムはスタンドで、眉根をよせながら伝票を調べていた。岸本は大きな長い足を引きずって「若禿」を起しにいった。何かしら....
投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
け。煙山をつけて行けば、自然にわかるだろう。わかったな」 「ハ」 そこで木介は伝票をもらって、出張の用意をととのえた。 その二 一月十九日正午――一時 ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
けてあるよ。」 日記にはその日の記事の傍に紙切れが丹念に貼りつけてある。小さな伝票用紙である。俳句は走り書きにしたためてあって、極めて読みにくい。 万巻の書灰....
フシギな女」より 著者:坂口安吾
底電線ぐらいの太さがあるなア。無神経、バカ、白痴、と見るのは当りませんや。彼女の伝票に残した文字をごらんなさい。 ラーメン弐、と、書きまちがえて、訂正している....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
含んだ冷い風が、いやに堅坑の底まで吹き降ろして来る朝のことであった。 二枚目の伝票を受取ったお品は、捲立の底で空になって降ろされて来た炭車を取ると、そのまま長....
雪の夜」より 著者:織田作之助
と腰を浮かせていたが、やがて思い切って、坂田は立ち上った。 「お先に失礼します」伝票を掴んでいた。 「ああそらいかん」 松本はあわてて手を押えたが、坂田は振り....
夜の構図」より 著者:織田作之助
た。信吉達のテーブルの傍にも、空いた場所を物色している客が立っていた。 信吉は伝票を掴んで立ち上った。娘も同時に立ち上った。娘の方には伝票がなかった。ボーイが....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
が締め切ってあった。一脚のテーブルが淋しく入口に据えられて、煙草、酒などと書いた伝票が散ばっている、土間では色艶のよくない四、五人の女が金鎚でコツコツ鉱石を選り....