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伸す
「伸す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
伸すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と笑って、 「おい、己を、まあ、何だと思う。浅草|田畝に巣を持って、観音様へ羽を
伸すから、隼の力と綽名アされた、掏摸だよ、巾着切だよ。はははは、これからその気で....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
った。 私は兵士のように身を挺して、怪青年の背後に追いすがった。右の肘をウンと
伸すと、運よく彼の肩口に手が触れた。勇躍。 「ヤッ!」 と飛びかかった。 「無....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
のとりなしで信長と清須城に会して連合を約し、幼少から隠忍した甲斐あって次第に勢を
伸す基礎を得た。元康、義元への義を想って子の氏真に弔合戦をすすめたけれども応ずる....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
。 こんな川でも、動揺みにゃ浪を打つわ、濡れずば栄螺も取れねえ道理よ。私が手を
伸すとの、また水に持って行かれて、手毬はやっぱり、川の中で、その人が取らしっけが....
「死者の書」より 著者:折口信夫
壁であった。壁が牀であった。巌ばかり――。触っても触っても、巌ばかりである。手を
伸すと、更に堅い巌が、掌に触れた。脚をひろげると、もっと広い磐石の面が、感じられ....
「女性の不平とよろこび」より 著者:岡本かの子
てばかりいると、内側の生命が萎縮してしまう。 男が伸々と拘束なしに内側の生命を
伸す間に、女は有史以来|圧えためられてそれを萎縮されてしまった。 生理的から観....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
面目な挨拶、殊勝な事と小宮山も更り、 「色々お世話だった。お蔭で心持|好く手足を
伸すよ、姐さんお前ももう休んでおくれ。」 「はい、難有うございます、それでは。」....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
は妙な事がある。 いつ頃からかはよく分らんが、床に入って、可心持に、すっと足を
伸す、背が浮いて、他愛なくこう、その華胥の国とか云う、そこへだ――引入れられそう....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
れ擦れになったのである。 ト境の方に立ったのが、心持|身体を開いて、頬の皺を引
伸すような声を出した。 「この人はや。」 「おいの。」 と皺枯れた返事を一人が....
「墓」より 著者:秋田滋
、やッぱり彼女でした。わたくしは急に怖ろしくなりました。けれども、わたくしは腕を
伸すと、その怖ろしい顔を自分のほうへ引き寄せようとして、彼女の髪の毛をぐッと掴ん....
「十年後のラジオ界」より 著者:海野十三
の国、仏の国となる。有難いじゃないか。」 「――そりゃいいが、この世からあの世へ
伸すことができるというからには、あの世の亡者連中もこの世へ、のさばってくることに....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
の傾向は現われていたのである。好奇の心を養うためには犠牲を要する。その犠牲に手を
伸す貪婪さを彼ぐらい露骨に示したものも少かろう。鶴見が銭湯に誘われたのを犠牲と呼....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
るような伊部ではなかったのだ。研究と仕事以外には、何一つ道楽も趣味もない男で、欠
伸する暇もないくらい、医学の仕事に全身を打ち込んでいたのだ。 「ええ」 と、道....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
つかつかと出ても、馴れて畳の破にも突かからず、台所は横づけで、長火鉢の前から手を
伸すとそのまま取れる柄杓だから、並々と一杯、突然天窓から打かぶせる気、お勝がそん....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
の輪辺の知辺の許へ――どうも前に云った雪中庵の連中といい、とかく赤蜻蛉に似て北へ
伸すのは当今でいえば銀座浅草。むかしは吉原の全盛の色香に心を引かれたらしい。――....