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「伸べる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

伸べるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
、辰子はその途端《とたん》に、――姉の唇《くちびる》の動こうとした途端に突然体を伸べるが早いか、白粉《おしろい》を刷《は》いた広子の頬《ほお》へ音の高いキスを贈....
おしの」より 著者:芥川竜之介
をおかけになりました。御覧なさい。あのおん姿を?」 神父は厳《おごそ》かに手を伸べると、後ろにある窓の硝子画《ガラスえ》を指《さ》した。ちょうど薄日に照らされ....
乱世」より 著者:菊池寛
ゃ。われわれは町人百姓ではござらぬぞ。朝廷の御処置が決ったら、いつにても首を差し伸べる覚悟はいたしてござる。それをあの指図は何事じゃ。貴殿こそ、われわれを盗人か....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
しっかり捕まえていて下さい」 そう云って博士が、「怪我人」の頭へサッと両手を差伸べると、相手は俄然、死物狂いで暴れだした。主任は、ムキになって押えつける。とう....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
おうとすると、 「ちょいと拝見、結構な印籠でございますね」 行商体の男が手を差伸べると、なお頻《しき》りに唸りつづけていたムクは、急に身を翻《ひるが》えして家....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
。だがこの急務を遂行するに必要なのは、他でもない、諸専門科学へ哲学自身の手をさし伸べるということでしかないのである。専門諸科学と哲学的理論とのこの必然的な共働は....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
多大の援助を賜わった中央公論社長島中雄作氏に、僕は心からなる感謝と握手の手を差し伸べる。 僕の知人に偉大な文化人がある。彼は、夕刻帰宅すると玄関へ出迎える細君....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
死人のようになって、すすり泣きをしているのがかわいそうです。 米友は右の手を差伸べると、楓に立てかけた槍をスルスルと引き上げました。同じ木の根に結かれていた平....
貞操問答」より 著者:菊池寛
屋は、電燈の灯ったままで、ひんやりと、明方の空気が肌寒かった。 新子は、蒲団を伸べる気にもなれず、灯を消したままで机の前に坐った。 そして、準之助氏の指の下....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
り伝説どおりの尾鰭があった。 彼女は、猫のような優やかさで動いてゆき、身を差し伸べるときには藻草のような髪が垂れ、それが岩礁の中で、果物の中の葉のように蒼々と....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
心不乱の顔をしながら、仕事にすっかり夢中になっているので、自分の杯を取ろうと差し伸べる手に眼をくれさえしないくらいで、――その手は、脣へ持ってゆく杯に当るまでに....
決闘」より 著者:神西清
髭がある。客間にはいるとまず聖像に十字を切って、にこやかにフォン・コーレンに手を伸べる。 「やあ」と動物学者は冷やかな調子で、「どこへ行ってましたね。」 「波止....
クリティシズムと認識論との関係」より 著者:戸坂潤
侶的な教義でしかなくなる。でクリティシズムの機構と哲学原則とは、双方から手をさし伸べる。恰も認識論というものは、そういう処になり立つものであった。 クリティシ....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
ったのでいよいよ面喰ってしまった。日本は二葉亭の注文通りにこの機会に乗じて驥足を伸べるどころか、火の子を恐れて縮こまって手も足も出ないでいる。偶々チョッカイを出....
まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
が行われた。これに対してまた、われわれ学生の憤激が爆発した。大学の中に捜査の手を伸べるとは何事か。我等は学問の独立と研究の自由を守らなければならない。大学擁護の....