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伸上る
「伸上る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
伸上るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、まだ朝御飯を食らないもの。」 「違えねえ、確にアリャ、」 と、め組は路地口へ
伸上る。 六 「大分御執心のようだが、どうした。」 と、め組のそ....
「魔像」より 著者:蘭郁二郎
みると、何処か遠くの方で、 (誰だ――) という返事がしたように思えた。洵吉は
伸上るように 「僕だよ、寺田、寺田洵吉だ――」 「あ、寺田君か、よく来た。今一寸....
「春昼」より 著者:泉鏡花
前へ出る方が路も明いかと思われて、些と急足になると、路も大分上りになって、ぐいと
伸上るように、思い切って真暗な中を、草を※って、身を退いて高い処へ。ぼんやり薄明....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
髪と、あの雪の襟との間に――胸に珠を掛けた、あれは何かね。 僧都 はあ。(卓子に
伸上る)はは、いかさま、いや、若様。あれは水晶の数珠にございます。海に沈みまする....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
段の高さとおなじ処へ、生々と出て、横面を鰭の血で縫おうとした。 その時、小男が
伸上るように、丸太棒の上から覗いて、 「無慙や、そのざまよ。」 と云った、眼が....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
大きく見えるまで濡々と紅をさして、細い頸の、真白な咽喉を長く、明神の森の遠見に、
伸上るような、ぐっと仰向いて、大きな目を凝と※った顔は、首だけ活人形を継いだよう....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
干に白い手を掛けて立っていた、媚かしい女があります。切組の板で半身です、が、少し
伸上るようにしたから、帯腰がすらりと見える。……水浅葱の手絡で円髷に艶々と結った....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
の若い衆は、覗いた顔を外に曲げる。 と門附は、背後の壁へ胸を反らして、ちょっと
伸上るようにして、戸に立つ男の肩越しに、皎とした月の廓の、細い通を見透かした。 ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
った獣のごとく、向顱巻で葉を分ける。 「気を付きょうぞ。少い人、落ちまい……」と
伸上る。 「大丈夫でございますよ。電信柱の突尖へ腰を掛ける人でございますからね。....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
て、白く乾いた小さな亀の背に掛けた。 「ははあ、考えた。」 「あいつを力に取って
伸上るんです、や、や、どッこい。やれ情ない。」 ざぶりと他愛なく、またもや沈む....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
「やあ。」 と、渡りに船の譬喩も恥かしい。水に縁の切れた糸瓜が、物干の如露へ
伸上るように身を起して、 「――御連中ですか、お師匠……」 と言った。 薄手....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
でしょうか、あれ、役者が舞台の扮装のままで写真を撮って来たのでしょうか。」 と
伸上るので、お嬢さんも連れられて目を遣った。 この場末の、冬日の中へ、きらびや....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
ですが、門のかかりに何となく、むかしの状を偲ばせます、萱葺の屋根ではありません。
伸上る背戸に、柳が霞んで、ここにも細流に山吹の影の映るのが、絵に描いた蛍の光を幻....
「多神教」より 著者:泉鏡花
恐い、藁の人形に五寸釘ちゅうは、はあ、その事でござりますかね。(下より神職の手に
伸上る。) 笛の男 (おなじく
伸上る)手首、足首、腹の真中(我が臍を圧えて反る)....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
の散るよう、足袋は脱いでいた。 この灯がさしたので、お若は半身を暗がりに、少し
伸上るようにして透して見ると、火鉢には真鍮の大薬鑵が懸って、も一ツ小鍋をかけたま....