佇立[語句情報] » 佇立

「佇立〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

佇立の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
中時計を右の掌《たなごころ》の上にのせながら、依然としてポンプの如く時間表の前に佇立《ちょりつ》しているのである…… あとで、それとなく聞くと、その頃大学の....
深夜の市長」より 著者:海野十三
だ前と同じような敬虔な眼眸で老人を見送るばかりだった。 「深夜の市長」は、そこに佇立して走りゆくトラックを眺めている僕を促して、ドンドン明るい街の方へ引張ってい....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
も蹌踉と歩みを運んで、とうとうネオン横丁をとおり抜け、その辻の薄暗い光の下に暫く佇立していたが、決心がついたのでもあろうか、その儘まっすぐに三越裏の壁ぎわを這う....
蠅男」より 著者:海野十三
化|華と咲く一千九百三十七年に住んでいるのであろうか。 帆村は、彼が糸子の傍に佇立していることさえ忘れて、彼のみが知る恐ろしさに唯、呆然としていた。 宝....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
に感慨禁ずる能わず、暫らくは焼けた材木の上を飛び/\、余熱に煽られつゝ彼方此方に佇立低徊していた。其中に面会者があると云って呼びに来たので、何の書断片であるかは....
起ち上る大阪」より 著者:織田作之助
。 この地蔵さんは矩形の石に浮彫をしたもので、底が平らでないから、そのままでは佇立できず、あとから土台石をつけたものらしく、恐らく土中に埋めていたものを発掘し....
」より 著者:岡本かの子
底の網膜には、外界との境の壁や窓ガラスを除外して直接表庭の敷石の上に此方を向いて佇立する大学生服の男の姿がはっきり映った。が、詰襟と帽子との間に挟まれる学生の容....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
。丁度秋の中頃の寒くも暑くもない快い晩で、余り景色が好いので二人は我知らず暫らく佇立って四辺を眺めていた。二葉亭は忽ち底力のある声で「明月や……」と叫って、較や....
銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
てあさ霧絶え絶えの間より人の顔おぼろに覗かるる頃となれば、派出所の前にいかめしく佇立める、巡査の服の白きが先ず眼に立ちぬ。新ばしの袂に夜あかしの車夫が、寝の足ら....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
リカラカッポウ大陽気だったので、必定お客を呼んでの大酒宴の真最中と、暫らく戸外に佇立って躊躇していたが、どうもそうらしくもないので、やがて玄関に音なうと、ピッタ....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
ッソリ頬のこけた学生風であった。容子がドウモ来客らしくないので、もしやと思って、佇立って「森さんですか、」と声を掛けると、紳士は帽子に手を掛けつつ、「森ですが、....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
暗き枝を透かして、向うに見える明るき山の色の美しさは、この世のものではない。暫く佇立したが、とても短い時間で写せそうもないので割愛して進んだ。 沢近く下ってま....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
索したが固より何物を見出そう筈もなく、動悸の波うつ胸を抱えて、私は霎時夢のように佇立んでいたが、この夜中に未だ馴染も薄い番人を呼起すのも如何と、その夜は其のまま....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
かは疑問である。恐く夢のようで自分にも判るまい。 虎ヶ窟の入口には彼の重太郎が佇立んでいた。其の傍には猿のような、小児のような、一種の怪しい者が蹲踞んでいた。....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
没後は大いに清涼を覚ゆ。副領事杉村恒造氏とともに電車に駕して市内を巡見し、公園に佇立して楽隊の奏楽を聞く。当日はイースターの大祭日なれば、園内の群集一方ならず、....