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低唱
「低唱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
低唱の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地図に出てくる男女」より 著者:吉行エイスケ
始めたのであった。踊場のシャンデリヤが消えて部屋が薄暗くなると、踊子達が流行歌を
低唱しながらダンスを始めた。米良の三鞭酒《しゃんぺん》の杯に氷山が浮いて彼の心は....
「地は饒なり」より 著者:宮本百合子
そして、いきなりその踊りの真中を目がけて踏み出そうとすると、今までは、なごやかに
低唱していた樫の木精が、一どきに ギワーツク、ギワーツク、カットンロー、カット....
「孟買挿話」より 著者:吉行エイスケ
木道を 満艦飾の女が馬車で カールトン・バアで卸して頂戴ネ と馭者に云う と、
低唱しながら屡々、ちえ! 田舎医者奴! と繰りかえして寝言を云うのであった。また....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
覗きながら、南ヘルス産の黄葡萄酒・北リオハ産の赤葡萄酒なんかと好い気に月を仰いで
低唱していると、忍んで来た勇士達が、このセニョラの窓の下で鉢合せを演じて盛んに殺....
「夜」より 著者:宮本百合子
故知らぬ暗示に胸をとどろかす 偉なるかな! 奇なるかな! 生あるものは総てかく
低唱しつつ 厚き帳のかなた身じろぐ夜の精を見んと 行手すかしつつさぐり見るなり ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
。
たけなわ。
さもなくば、初冬|細雨《さいう》の宵。
浅酌《せんしゃく》
低唱によく、風流詩歌を談ずるにふさわしい静夜だが……。
いま、この化物屋敷には....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
いこととせられていた教義を守ることをある程度まで行なっていた。彼は日曜日には必ず
低唱|弥撒《ミサ》を聞きに教会へ出かけて行った。いたる所に競争心をかぎつけるその....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
は、前に述べたとおり叙情詩人であるジャン・プルーヴェールが暗闇《くらやみ》の中で
低唱する右の詩句に、一種悲痛な魅力を与えていた。
そのうちに、小さな防寨《ぼう....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
たりの夕まぐれ、 と廊下で繃帯を巻きながら、唐糸の響くように、四五人で交る交る
低唱していた、看護婦たちの声が、フト途切れたトタンに。 硝子窓へばらばらと雨が....
「雪の日」より 著者:永井荷風
わたくしはこの忘れられた前の世の小唄《こうた》を、雪のふる日には、必ず思出して
低唱《ていしょう》したいような心持になるのである。この歌詞には一語の無駄もない。....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
ど上手に、かつまたそんな大きな声で唄ったのではない。咽喉から流れるままに口の中で
低唱《ていしょう》したのであるが、それによって長吉はやみがたい心の苦痛が幾分か柔....