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体感
「体感〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
体感の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女生徒」より 著者:太宰治
い。こうして、じっと見ていると、ほんとうにソロモンの栄華以上だと、実感として、肉
体感覚として、首肯《しゅこう》される。ふと、去年の夏の山形を思い出す。山に行った....
「苦悩の年鑑」より 著者:太宰治
いたように、私はいまここで当時の社会状勢を報告しようとしているのではない。私の肉
体感覚の断片を書きならべて見ようと思っているだけである。 × ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
デコマリマス。私ノ山ハ私ガ実際ニ感ジルヨリモアマリ平面ノヨウデス。樹木モドウモ物
体感ニトボシク思ワレマス。 色ヲツケテミタラヨカロウト考エテイマスガ、時間ト金ガ....
「愛と美について」より 著者:太宰治
もなかった。「物語には容貌が、重大である。容貌を語ることに依って、その主人公に肉
体感を与え、また聞き手に、その近親の誰かの顔を思い出させ、物語全体に、インチメー....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
画芸術にいかなる反応を生ずるであろうか。 実際の空間におけるわれわれの視像の立
体感はどこから来るかというに、目から一メートル程度の近距離ではいわゆる双眼視によ....
「空想日録」より 著者:寺田寅彦
あった。 三 身長と寿命 地震研究所のI博士が近ごろ地震に対しての人
体感覚の限度に関する研究の結果を発表した。特別な設計をした振動台の上に固定された....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
なもので唯一個の目玉では世界万物すべて平面に見えて決して浮き出さない。すなわち立
体感がなくなるのだ。立体がわからないからしたがって距離がわからない、片目で絵を描....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
つけても羨ましいのはモンテカルロ辺りの古風な石造の家や別荘の積み重なりの美しき立
体感である。マッチの捨て場所のない清潔な道路である。 家ばかりを幾度描いても描....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
体が存在し、太陽の直接の影響による光が存在し、空気があり科学があり、実際と強き立
体感が頑として控えているのだ。 東洋画を天国とすると西洋画はこの世である。ある....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
|鶴三氏のものが大変よく見えたのは、彫刻家であるだけ、デッサンの正確さによって立
体感までが現れてよき意味の写実によって絵が生きた事などが原因しているといっていい....
「石ころ路」より 著者:田畑修一郎
いっしょくたになり、夢と覚めているときとの感覚が同じものになり、最後には自分の肉
体感まで失われたこと、そして何より悪いことにはこれらの種々の混乱がその微細な点か....
「地上」より 著者:島田清次郎
め/\した恋であったが、何も知らずに伝右衛門が死んだ後に、容太郎とお信は忌わしい
体感とともに残されたのであった。伝右衛門の死は二人に恐ろしい罪を犯していることの....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
発端である。正の物を見たら、これはほんとうに驚くのかも知れぬが、写真だけでは、立
体感を強いるような線ばかりが印象して、それに、むっちりとした肉おきばかりを考えて....
「翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
れは、ここに繰り展《ひろ》げられている心理情景の物しずかな進行プロセスを、身裡に
体感するまでには何という労力と時間とを費やし、あわせて調子の粗硬さから来る一種の....
「翻訳の生理・心理」より 著者:神西清
望である。 もし完全な飜訳者というものがあるとすれば、そのようにして幻想された
体感が、一々原作者のそれに合致するという、真にあり得べからざる玄妙の境に達し得る....