体臭[語句情報] »
体臭
「体臭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
体臭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
つものように酒くさかった。飲んだばかりの酒の匂いではなく、常習的な酒癖のために、
体臭になったかと思われるような匂いだった。おぬいはそのすえたような匂いをかぐと、....
「生きている腸」より 著者:海野十三
中に入った。 ぷーんと黴くさい匂いが、鼻をうった。それにまじって、なんだか女の
体臭のようなものがしたと思った。 (おかしいな) 室内は真暗だった。 彼は手....
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
いけません。痛みますか。もし……」 目を閉じていた半平の顔のあたりに、若い女の
体臭がむんむん匂《にお》ってきた。彼は昂奮《こうふん》で締めつけられるようだった....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
からぬ艶めいた香を漾わせるのだった。それとも若い女というものは、作らずしてこんな
体臭をもっているのだろうか。そんなことを考えているとなかなか睡れなかった。睡るか....
「階段」より 著者:海野十三
りに、ぎらぎら光る汗のようなものが滲んでいて、化粧料から来るのか、それとも女史の
体臭から来るのか、とに角も不思議に甘美を唆る香りが僕の鼻をうったものだから、思わ....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
下に靴をぬぎとばすと、スルスルと昇って行った。二階は真暗であった。ムンと若い女の
体臭が鼻をつく。 「キミちゃん居るかい」彼は暗中に声をかけた。 「ああ、ムーさん....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
「僕は電車に乗ると、なるべく若い婦人の身近くを選んで座を占める。彼女の生ぐさい
体臭や、胸を衝くような官能的色彩に富んだ衣裳や、その下にムックリ盛りあがった肢態....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
した。 障子と襖とを、一つ一つ開けて行ったが、果して、誰も居なかった。若い女の
体臭が、プーンと漂っていた。壁にかけてあるセルの単衣に、合わせてある桃色の襦袢の....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
た。 「じゃ、ちょっと――」 私は心臓をはずませて、席を立った。彼女の悩ましい
体臭の影にぴったりとついて行くと、チェリーは楽手のいないピアノの側へつれていった....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
からは、山羊くさいといわれる黒人の臭いの、おそらく数倍かと思われるような堪らない
体臭が、むんむん湿熱にむれて発散されてくる。アッコルティ先生は、ハンカチで鼻を覆....
「墓」より 著者:秋田滋
しまったのです。 わたくしは、その晩、夜一夜、ちょうど愛の抱擁をした人間が女の
体臭を大切にもっているように、その腐肉の悪臭、腐って行くわたくしの愛人の臭いを大....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
漲っている、なにかの香りを嗅ぎ取ろうとした。しかしそれは、早苗にある石竹のような
体臭ではなかった。昨夜はあの部屋で、いまここにもある、柔皮花の匂いをいっこうに感....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
常に怜悧な男なのではないかとも思った。 でもこう話しているうちに、決して男性の
体臭的でない明るいすがすがしい気配が、青年の顔色や態度に現われて来た。かの女は、....
「春」より 著者:岡本かの子
と抱き寄せる加奈子の鼻に、少し青くさいような、そして羊毛のような、かすかな京子の
体臭が匂う。 室内の患者の一人は三十歳ばかりで色白のふくよかな美貌の女。その女....
「米」より 著者:犬田卯
ころで納めていたのである。 それにしても依然として気持のいい筈はなかった。母の
体臭のようなものを浩平の肌に感ずるようなことがあると、一週間でも十日でも、彼女は....