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「体裁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

体裁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
彼等の貧困は棟割長屋《むねわりながや》に雑居する下流階級の貧困ではなかった。が、体裁を繕う為により苦痛を受けなければならぬ中流下層階級の貧困だった。退職官吏だっ....
片恋」より 著者:芥川竜之介
将の掛物がかかっていて、その前に造花《ぞうか》の牡丹《ぼたん》が生けてあると云う体裁だがね。夕方から雨がふったのと、人数《にんず》も割に少かったのとで、思ったよ....
奇遇」より 著者:芥川竜之介
うのです。 編輯者 そんな論文はいけません。 小説家 これはどうですか? まあ、体裁の上では小品《しょうひん》ですが、―― 編輯者 「奇遇《きぐう》」と云う題で....
少年」より 著者:芥川竜之介
じなかった。……「海」の話はこれだけである。もっとも今日《こんにち》の保吉は話の体裁《ていさい》を整えるために、もっと小説の結末らしい結末をつけることも困難では....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
綻《ほころ》びの切れた夏羽織だのに気がついたものと見えて、「どうしたんだい。その体裁は。」と、呆れたように尋ねました。「電車から落っこってね、鞍掛橋の所で飛び降....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
する。また自分としても、如上の記述に関する引用書目を挙げて、いささかこの小論文の体裁を完全にしたいのであるが、生憎《あいにく》そうするだけの余白が残っていない。....
婦系図」より 著者:泉鏡花
は聞かせんだろう。 で、とんだ災難で、早瀬は参謀本部の訳官も辞した、と新聞には体裁よく出してあるが、考えて御覧なさい。 同じ電車に乗っていて、坂田氏が掏られ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
鸞のようには悟った。然し私のようには悟らなかった。それが一体何になろう。これほど体裁のいい外貌と、内容の空虚な実質とを併合した心の状態が外にあろうか。この近道ら....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
事柄の話を聞いた。このようにして私の知り得たすべてを私自身に見聞したことのような体裁で記述してみようと思う。』『このように大きな質量を有し、そのあるものは大きさ....
田端日記」より 著者:芥川竜之介
なった。鏡に向って見ると、左の頬が大分腫れている。いびつになった顔は、確にあまり体裁の好いものじゃない。そこで右の頬をふくらせたら、平均がとれるだろうと思って、....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
から、配達夫が一葉の端書を持って「何の某とはその方どもの事か――」といったような体裁でしたよ。まだ江戸の町々には、木戸が残ってあった頃で、この時分までは木戸を閉....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
り四つ五つ年上で――ただうつくしいというより仇っぽい婦人だったんです。何しろその体裁ですから、すなおな髪を引詰めて櫛巻でいましたが、生際が薄青いくらい、襟脚が透....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
近へ舳が廻って、松の風に揺り起され、肌寒うなって目を覚ましますと、そのお前様……体裁。 山へ上ったというではなし、たかだか船の中の車座、そんな事は平気な野郎も....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。 何、ところが、大学生も、御多分に洩れず、窮迫していて、暑中休暇は、いい間の体裁。東京の下宿に居るより、故郷の海岸で自炊をした方が一夏だけも幾干か蹴出せよう....
式部小路」より 著者:泉鏡花
若いもの。かねて誂の剃刀を、あわせて届けに来たと見える。かんぬしが脂下ったという体裁、笏の形の能代塗の箱を一個、掌に据えて、ト上目づかいに差出した。それは読めた....