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何でもない
「何でもない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
何でもないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
りかかったまま、いつかとめどなしに笑っていた。
「なんでございます?」
「いや、
何でもない。何にも可笑しいことはありません。――」
玄鶴はまだ笑いながら、細い....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
鏡面には雲一つ見えない空に不二《ふじ》に似た山が聳えている。それは不思議でも
何でもない。けれどもその山は見上げる限り、一面に野菜に蔽《おお》われている。玉菜....
「影」より 著者:芥川竜之介
瞳《ひとみ》に漲《みなぎ》っていた。
「どう遊ばしました? 奥様。」
「いいえ、
何でもないのよ。
何でもないのだけれど、――」
房子は無理に微笑しようとした。
....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
く、すでに細君の従弟だと云う以上、芝居で挨拶を交すくらいな事は、さらに不思議でも
何でもないじゃないかと、こう理性に訴えて、出来るだけその男に接近しようとさえ努力....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
もののように見えたのだった。が、彼は刹那《せつな》の後《のち》、それが不思議でも
何でもない、ただの桜だった事を発見すると、恥しそうに苦笑しながら、静かにまたもと....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
。
加州一藩の経済にとっては、勿論、金無垢の煙管《きせる》一本の費用くらいは、
何でもない。が、賀節《がせつ》朔望《さくぼう》二十八日の登城《とじょう》の度に、....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
り、神父の顔を見つめている。しかもその眼に閃《ひらめ》いているのは神聖な感動でも
何でもない。ただ冷やかな軽蔑《けいべつ》と骨にも徹《とお》りそうな憎悪《ぞうお》....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
れから一番遠いテエブルへ行って、白葡萄酒を一杯云いつけた。実は酒を飲みたい訳でも
何でもない。ただ、眠くなるまでの時間さえ、つぶす事が出来ればよいのである。だから....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
Aの声 お前は金の腕環《うでわ》なんぞはめているね。
――ええ、何故?
Bの声
何でもないのさ。お前の髪は、素馨《そけい》のにおいがするじゃないか。
――ええ....
「死後」より 著者:芥川竜之介
かこれを持っていたことがある、――僕はそんなことを思い出しながら、いつか書斎でも
何でもない、枳殻垣《からたちがき》に沿った道を歩いていた。
道はもう暮れかかっ....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
を抑えました。
「何です? 僕は蛇《へび》でも出たのかと思った。」
それは実際
何でもない。ただ乾いた山砂の上に細《こま》かい蟻《あり》が何匹も半死半生《はんし....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
た、あなた、どうしてそんなに震えていらっしゃるんです?」
「何《なん》でもない。
何でもないよ。」
「だってこんなに汗をかいて、――この夏は内地へ帰りましょうよ。....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
の一枚のコンテ画をいろいろの位置から眺めるようにした。 「何をしているの?」 「
何でもないよ。……唯あの肖像画は口のまわりだけ、……」 姉はちょっと振り返りな....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
口の批評家としての強味は、この微妙な関係を直覚出来る点に存していると思う。これは
何でもない事のようだが、存外今の批評家に欠乏している強味なのだ。 最後に創作家....
「寡婦」より 著者:秋田滋
のぼせ切ってしまったのでした。同じ屋敷に住んでいた娘さんと養女も、そうしたことを
何でもない、ごく当り前のことのように思っていたのです。それほどまでに、恋愛という....