何の事はない[語句情報] » 何の事はない

「何の事はない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

何の事はないの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
幾《いく》ツということもない蛭の皮じゃ。 これはと思う、右も、左も、前の枝も、何の事はないまるで充満《いっぱい》。 私は思わず恐怖《きょうふ》の声を立てて叫....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
という名の下に、新たに許可したものだというのだから、開いた口が塞《ふさ》がらぬ。何の事はない、浅草区内に今まで居た醜業婦をほかへやって、あとに今までよりも白首を....
婦系図」より 著者:泉鏡花
。酒を飲ませてお流頂戴。切々内へ呼び出しちゃ、花骨牌でも撒きそうに思ってるんだ。何の事はない、美少年録のソレ何だっけ、安保箭五郎直行さ。甚しきは美人局でも遣りか....
朱日記」より 著者:泉鏡花
くの方は中絶えして、一ツ二ツずつ続いたんだが、限りが知れん、幾百居るか。 で、何の事はない、虫眼鏡で赤蟻の行列を山へ投懸けて視めるようだ。それが一ツも鳴かず、....
観画談」より 著者:幸田露伴
ほど低く這下って来ると、堪らない、ザアッという本降りになって、林木も声を合せて、何の事はないこの山中に入って来た他国者をいじめでもするように襲った。晩成先生もさ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
、好きもきらいも若い一時の阿呆らしい夢、親にそむいて家を飛び出し連添ってみても、何の事はない、いまはただありふれた貧乏|世帯の、とと、かか、顔を見合せて、おかし....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ばッ揺れる。三味線の音もしたけれど、吹さらわれて大屋根へ猫の姿でけし飛ぶようさ。何の事はない、今夜のこの寂しい新地へ、風を持って来て、打着けたと思えば可い。 ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
く、密度を濃かにしたのじゃなくって、薄く透通る。その一つ一つの薄い羽のようにさ。何の事はない、見た処、東京の低い空を、淡紅一面の紗を張って、銀の霞に包んだようだ....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
ったと思うと、見ていた私は吃驚して、地震だ地震だ、と極の悪い大声を立てましたわ、何の事はない、お居間の瓦屋根が、波を打って揺れましたもの、それがまた目まぐるしく....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
がね、そのくなくなした処や、天窓で歩行きそうにする処から、黄色く※った処なんぞ、何の事はない婆の毛虫だ。毛虫の婆さんです。」 「厭ですことねえ。」と身ぶるいする....
清心庵」より 著者:泉鏡花
見ると、お前様、いつまで、九ツや十で居るものか。もう十八だとそう思って驚いたよ。何の事はない、密通だね。 いくら思案をしたって御新造様は人の女房さ。そりゃいく....
三枚続」より 著者:泉鏡花
の方でも、その時分にようようワッという人声が陰に籠って聞えました。やがて私の身は何の事はない渦いて来る人間の浪の中に巻込まれてしまいました。 右左|透間のねえ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
静に腰をかけたんですが、もみじの中にその姿で、いかにも品が佳い。これでさげ髪だと何の事はない、もみじ狩の前シテという処ですが、島田の姉さんだから、女大名。 私....
四十年前」より 著者:内田魯庵
御利生でもあるまいが、某の大臣の夫人が紅毛碧眼の子を産んだという浮説さえ生じた。何の事はない、一時は世を挙げて欧化の魔術にヒプノタイズされてしまった。が、暫らく....