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何分にも
「何分にも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
何分にもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竜」より 著者:芥川竜之介
えた夜明け前の水が、そこだけほんのりとうす明《あかる》く見えたそうでございます。
何分にも竜の噂がやかましい時分でございますから、『さては竜神《りゅうじん》の御出....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
後《のち》の月という時分が来ると、どうも思わずには居られない。幼い訣《わけ》とは思うが
何分にも忘れることが出来ない。もはや十年|余《よ》も過去った昔のことであるから、....
「地獄街道」より 著者:海野十三
の近くに来ている。隠れ家をくらますために家の近所で降りて、あとはお歩いだ。しかし
何分にもかゆくて藻掻きだす。そこであの近所にある一軒の薬屋を叩き起して、かゆみ止....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
養のためにこの上もない貴重なくすりなのだ。 いろいろ喀血出血の原因を考えたが、
何分にも自分は生理学や病理学には素人であって、本尊をつかんでいるかどうか分らない....
「火星探険」より 著者:海野十三
宙艇はこれまでの難航によって、方々が壊れた。その都度応急処置をとったのであるが、
何分にも航行の仕事に手がかかって、空気洩れ防止の方は十分に行われていなかった。デ....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
負傷でもなされば、或はそれがうまくいって、記憶の恢復が起るかもしれません。しかし
何分にも、これは計画的にやって見ることの出来ないことなので、困りますなあ」 「ほ....
「火星兵団」より 著者:海野十三
い。しかし、何か作用があると思われるが、そのことは試験をしているひまがなかった。
何分にも、早くこれを使わないと、火星兵団のため、崩壊前の地球を、すっかり占領され....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
。 三の烏 その事よ、血の酒に酔う前に、腹へ底を入れておく相談にはなるまいかな。
何分にも空腹だ。 二の烏 御同然に夜食前よ。俺も一先に心付いてはいるが、その人間....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
食べさしたいと、甘谷の発議。で、宗吉がこれを買いに遣られたのが事の原因であった。
何分にも、十六七の食盛りが、毎日々々、三度の食事にがつがつしていた処へ、朝飯前と....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
んのッて、ひらひらと来る紅色の葉から、すぐに吸いつけるように煙草を吹かした。が、
何分にも鋳掛屋じゃあ納りませんな。 ところでさて、首に巻いた手拭を取って、払い....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
類などにつきて遠い遠い昔の思い出語りをいたすのは何やらお門違いをしているようで、
何分にも興味が乗らないで困ってしまいます……。 やがて私の娘時代にも終りを告ぐ....
「幼き頃の想い出」より 著者:上村松園
来たほどですから、実に安価だったわけでございます。 馬琴と北斎の想い出
何分にも少女時代のことですから、馬琴が何か、北斎が何か、確実な理解も持たずに、享....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
らに世話を掛けたんですが、つれがつれです、快よくあしらってはくれましたけれども、
何分にも、ぎっしりで、席は一つもないというんで、止むを得ず……悪く思わないで下さ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
利かせません。立つにも立たれはしないから、しばらく腰を据える覚悟をしました。が、
何分にも、餒れた黄肌鮪鬢長鮪が可恐しい。 「菎蒻。」 「こんにゃく。」 口の裡....
「活人形」より 著者:泉鏡花
うばかりで、それより他に判断の附様がございません。早速探し出しますで、今夜の処は
何分にも御猶予を願いたい。と腰を屈め、揉手をして、ひたすら頼めどいっかな肯かず、....