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何心
「何心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
何心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
るかしらんと、二三度振ってみたが附着《くッつ》いていてそのままには取れないから、
何心なく手をやって掴《つか》むと、滑《なめ》らかに冷《ひや》りと来た。
見ると....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
になど、座を起って通る時、その窓の前へ行くと、希代にヒヤリとして風が冷い。処で、
何心なく障子をスーツと閉めて行く、……帰りがけに見るとさらりと開いている。が、誰....
「春昼」より 著者:泉鏡花
すね、」 「折々|御遊歩においで下さい。」 「勿体ない、おまいりに来ましょう。」
何心なく言った顔を、訝しそうに打視めた。 出家は膝に手を置いて、 「これは、貴....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
いた。 機械口が緩んだままで、水が点滴っているらしい。 その袖壁の折角から、
何心なく中を覗くと、 「あッ。」と、思わず声を立てて、ばたばたと後へ退った。 ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
かろうと思うが、今向う側を何んとか屋の新妓とか云うのが、からんころんと通るのを、
何心なく見送ると、あの、一軒おき二軒おきの、軒行燈では浅葱になり、月影では青くな....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
上
何心なく、背戸の小橋を、向こうの蘆へ渡りかけて、思わず足を留めた。 不図、鳥の....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
んなりと垂を捌いて、墨染の法衣の袖を胸で捲いて、寂寞として踞った姿を見ました……
何心もありませぬ。老人、その前を通って、ずっとの片端、和尚どのと同じ側の向うの隅....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、とぼけて、その癖何だか小憎らしい。 立寄る客なく、通りも途絶えた所在なさに、
何心なく、じっと見た若い女房が、遠く向うから、その舌で、頬を触るように思われたの....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
の上り汽車、これが碓氷の隧道を越えます時、その幾つ目であったそうで。 小宮山は
何心なく顔を出して、真暗な道の様子を透していると、山清水の滴る隧道の腹へ、汽車の....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
たの。」 と赤き小提灯さしかざし、浮足してソト近寄りたる。国麿の傍に、しのぶの
何心なく来かかりしが、 「あれ。」 恐しき顔して睨めつけながら、鼻の前にフフと....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、壁は横に、今も屋台は浮き沈み、危く掘立の、柱々、放れ放れに傾いているのを、渠は
何心なく見て過ぎた。連れはその店へ寄ったのである。 「昔……昔、浦島は、小児の捉....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
えなかった。 理学士は繰返してまた、 「千破矢さんはどうしたんだ、」と、これは
何心なく安否を聞いたのであったが、ふと夢の中の事に思い当った。お雪の答が濁ったの....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
提灯を一つ。)と申したそうで、(おい、来た。)村の衆が出入りの便宜同様に、気軽に
何心なく出したげで。――ここがその、少々変な塩梅なのでござりまして、先が盲だとも....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ものがあるんだ。 灯がついた時分、玄関はまだ暗かった、宅で用でも出来たのかと、
何心なく女中について、中庭の歩を越して玄関へ出て見ると、叔母の宅に世話になって、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
車にて、下男を従えて家に帰りつ。表二階にて下男を対手に、晩酌を傾けおりしが、得三
何心無く外を眺め、門前に佇む泰助を、遠目に見附けて太く驚き、「あッ、飛んだ奴が舞....