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何時の間にか
「何時の間にか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
何時の間にかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星あかり」より 著者:泉鏡花
牡丹、鬼百合、夏菊など雑植の繁った中に、向日葵の花は高く蓮の葉の如く押被さって、
何時の間にか星は隠れた。鼠色の空はどんよりとして、流るる雲も何にもない。なかなか....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
の声に誘われて女湯の方へ雪崩れ込んで来た。 司法主任の赤羽直三氏の蒼白な顔が、
何時の間にか交っていた。 「おお! こりゃ兇器で殺られてる。みんな傍へ寄っちゃい....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
日の丸の印が、グングン小さく、そして遠くなって行った。 一隊又一隊と、空中では
何時の間にか、三機、五機、七機と見事な編隊を整え、敵の空中目指して突入して行った....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
く叫んだ。 「君、屋上へ行こう」 もう開店時間に間もないと見えて、どの売場でも
何時の間にか出勤した大勢の店員や売子達が、商品の上に覆われた白|更紗のシートを畳....
「春昼」より 著者:泉鏡花
音で、くるくると廻った。 気がつくと、四、五人、山のように背後から押被さって、
何時の間にか他に見物が出来たて。 爾時、御新姐の顔の色は、こぼれかかった艶やか....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
一人|沈としているものは無い。腰を掛けたかと思うと立つ。甲に話しているかと思うと
何時の間にか乙と談じている。一つ咄が多勢に取繰返し引繰返しされて、十人ばかりの咄....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
、立休ろうていた。笠を脱いで、襟脚長く玉を伸べて、瑩沢なる黒髪を高く結んだのに、
何時の間にか一輪の小な花を簪していた、褄はずれ、袂の端、大輪の菊の色白き中に佇ん....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
慮なく往来の交通を邪魔していたし、また思いがけないところに火の手が忍びよっていて
何時の間にか南側の家が焔々と燃えているのに気がつくなどという有様だった。高島町の....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
ぎた後であった。ふと何かに脅されたような心もちがして、思わずあたりを見まわすと、
何時の間にか例の小娘が、向う側から席を私の隣へ移して、頻に窓を開けようとしている....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
って色、今までフランスのどんな腕の宜い布地屋でも出せなかった色よ。それをあいつ、
何時の間にか着ちまってる、何という魔ものだ。 女は口惜しがる度に小田島を強く小....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
方で、浅黄がやがて薄白く暮れかかる西の空に紅い旗雲が一つ流れて、気の早い三日月が
何時の間にか白い小舟の影を浮べていた。お菊はその空を少時瞰上げていると、水を吹い....
「銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
りて、軒をつらねたる商家の店は都て大道に向って開かれぬ。狼籍たりし竹の皮も紙屑も
何時の間にか掃去られて、水うちたる煉瓦の赤きが上に、青海波を描きたる箒目の痕清く....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
った当初の志望こそ外交官であったが、語学の研究のため露西亜文学を渉猟し初してから
何時の間にか露国思想の感化を受けると同時に、それまで潜在していた文学的興味、芸術....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
待っていて呉れる。この茸は全く人間味を離れて自然の純真な心持を伝え、訪問者をして
何時の間にか仙人化してしまう。その仙人化されてゆくところに私は大なる興味をおぼえ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
は小蒸汽や達磨船である。五大力、高瀬船、伝馬、荷足、田舟などという大小の和船も、
何時の間にか流転の力に押し流されたのであろう。僕はO君と話しながら「※湘のように....