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「何物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

何物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
誇らかにながめやった。 それも無理はない。彼は、味方の破れるのを見ると、よしや何物を得なくとも、この馬だけは奪おうと、かたく心に決したのである。そうして、その....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
影がさしたのである。が、その「死」は、かつて彼を脅かしたそれのように、いまわしい何物をも蔵していない。いわばこの桶の中の空《そら》のように、静かながら慕わしい、....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
と答えた事だかわかりません。が、本屋の店先で私の耳に「それだ。それだ。」と囁いた何物かは、その度にまた嘲笑《あざわら》って、「では何故《なぜ》お前は妻を殺した事....
」より 著者:芥川竜之介
んだ。見れば蒼白い頬《ほお》の底にも、眼に見えない炎《ほのお》のような、切迫した何物かが燃え立っている。震《ふる》える肩、濡れた睫毛《まつげ》、――男はそれらを....
一夕話」より 著者:芥川竜之介
い。猛烈な道徳的情熱を知らない。猛烈な、――およそこの地球を荘厳にすべき、猛烈な何物も知らずにいるんだ。そこに彼等の致命傷《ちめいしょう》もあれば、彼等の害毒も....
」より 著者:芥川竜之介
》んでいるような心もちがした。しかし以前よりさらに堪えられない事には、今度はその何物かの眼が、窓を後にした房子の顔へ、まともに視線を焼きつけている。 房子は全....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
には掻巻《かいまき》の格子模様《こうしもよう》が、ランプの光に浮んでいるほかは、何物もいるとは思われなかった。……… またある時は鏡台の前に、お蓮が髪を直して....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
e is earnest.」――あの血色の悪い丸顔を汗ばませて、絶えず知られざる何物かを哀願しながら、こう先生の読み上げた、喉《のど》のつまりそうな金切声《かな....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
うじゃ》に敬意を払っていた。しかしそれらの尊《みこと》たちは、格別彼に敵意らしい何物も持っていないらしかった。 殊に思兼尊などは、むしろ彼の野蛮な性質に好意を....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
問題は全然信念の上に立脚している。我々は理性に耳を借さない。いや、理性を超越した何物かのみに耳を借すのである。何物かに、――わたしは「何物か」と云う以前に、ふさ....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
山の手には勿論縁の遠い、――云わば河岸の鮪《まぐろ》の鮨《すし》と、一味相通ずる何物かがあった。……… 露柴はさも邪魔《じゃま》そうに、時々|外套《がいとう》....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
こちらの世界で、何よりも大切な修行というのは精神の統一で、精神統一以外には殆んど何物もないといえる。つまりこれは一|心不乱に神様を念じ、神様と自分とを一|体にま....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
つあることは驚歎すべきである。今や世界全土に亙りて普及しつつある神霊運動の前には何物も抵抗すべくもない。世界で一番後一番後※しになった日本国でも、最早その傾向が....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
春の胸もとへ向けながら、眼を嗔らせて叱りつけるのを聞けば、 「こら、その方は一体何物だ。この峨眉山という山は、天地|開闢の昔から、おれが住居をしている所だぞ。そ....
「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
味のある特色を指摘したい。その特色とは何であるか? それは道徳的意識に根ざした、何物をも容赦しないリアリズムである。 菊池寛の感想を集めた「文芸春秋」の中に、....