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佗
「佗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
佗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
地のない坊主頭《ぼうずあたま》だった。のみならずしばらく聞き澄ましていても、この
佗《わび》しい堂守《どうもり》のほかに人のいるけはいは聞えなかった。伝吉はまず雨....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
間へ、小さな蓆張《むしろば》りの庵《いおり》を造りまして、そこに始終たった一人、
佗《わび》しく住んでいたのでございます。
十三
そこでお話....
「或る女」より 著者:有島武郎
》の人たちさえうらやましがらせた。そしていろいろな風聞が、清教徒風に質素な早月の
佗住居《わびずまい》の周囲を霞《かすみ》のように取り巻き始めた。
突然小さな仙....
「振動魔」より 著者:海野十三
恐ろしい呪いの爪が、おのれの身の上に降るとも知らない様子で、雪子女史は実験を待ち
佗るのだった。 「では始めますよ。ほーら、こんな具合なんです……」 柿丘は右手....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
っちへお上りなすって……」 といって筵の上へ招じた。 妾の不意の訪問も、この
佗しい休演中の座長の老人を反って悦ばせたらしい。思いがけなく熱い茶を御馳走になっ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ばぬ、飛んでござれ。」 「はあ、いまさらにお恥かしい。大海|蒼溟に館を造る、跋難
佗竜王、娑伽羅竜王、摩那斯竜王。竜神、竜女も、色には迷う験し候。外海小湖に泥土の....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
失って、のちに古女房と二人、京橋三十間堀裏のバラック建のアパアトの小使、兼番人で
佗しく住んだ。身辺の寒さ寂しさよ。……霜月末の風の夜や……破蒲団の置炬燵に、歯の....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
葉、松|薪をひしと積んだは、今から冬の用意をした、雪の山家と頷かれて、見るからに
佗しい戸の、その蜘蛛の巣は、山姥の髪のみだれなり。 一軒二軒……三軒目の、同じ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
少くとも表面には大そう幸福らしい生活を送っていました。落城後私があの諸磯の海辺に
佗住居をして居た時分などは、何度も何度も訪れて来て、何かと私に力をつけてくれまし....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
色を失うにも至ろう。「吉祥天女を思ひがけんとすれば、怯気づきて、くすしからんこそ
佗しかりぬべけれ。」予はたおやかな原文の調が、いたずらに柔軟微温の文体に移されず....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
会へ這入って来る人の顔を一つ残らずじいッと視つめていた。彼は、学生が日曜日を待ち
佗びるように、日曜が来るのを首をながくして待った。その日は、教会が絶えず人で雑沓....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
出さなかった。女房たちの年に一度二度の集まりにも姿を見せなかった。隠居家にひとり
佗びしく生きていた老母――彼女の実の母――が息を引取る時も、旅にいてなんの世話も....
「謡曲と画題」より 著者:上村松園
、芦屋某の妻に会って、その主人の伝言をつたえるのであります。 三年の間、ひとり
佗しく主人の帰館を待っていた妻は、帰って来たのは主人ではなくて召使いの夕霧であっ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
を越えるあたりから降出したらしいのですが、さすが引返すでもなかった。家数四五軒、
佗しい山間の村で、弁当を使った時、雨を凌いで、簀の子の縁に立掛けた板戸に、(この....
「活人形」より 著者:泉鏡花
訴え出でし事もあれど、狂気の沙汰とて取上げられず。力無く生甲斐無く、漣や滋賀県に
佗年月を過すうち、聞く東京に倉瀬とて、弱きを助くる探偵ありと、雲間に高きお姓名の....