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余る
「余る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ふうこうぎく》の双幅とのほかに、装飾らしい装飾は一つもない。壁に沿うては、五十に
余る本箱が、ただ古びた桐の色を、一面に寂しく並べている。障子の紙も貼ってから、一....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
。
その代りまた、詩歌管絃の道に長じてさえ居りますれば、無位無官の侍でも、身に
余るような御褒美《ごほうび》を受けた事がございます。たとえば、ある秋の夜に、月の....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
してなら、何も丹波先生を待たなくとも、自分たちの眼を駭《おどろ》かせた事は、あり
余るほど沢山ある。
「それから毛利先生は、雨が降ると、洋服へ下駄《げた》をはいて....
「竜」より 著者:芥川竜之介
《おさ》のように飛びちがうのでございます。それが一度鍵の手に群る雲を引っ裂いて、
余る勢いに池の水を柱のごとく捲き起したようでございましたが、恵印の眼にはその刹那....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
かと云って寝台は、勿論皆売切れている。本間さんはしばらく、腰の広さ十|囲《い》に
余る酒臭い陸軍将校と、眠りながら歯ぎしりをするどこかの令夫人との間にはさまって、....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
辰五郎《よどやたつごろう》は、この松の雪景色を眺めるために、四抱《よかか》えにも
余る大木をわざわざ庭へ引かせたそうです。
(大正十一年三月)....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ないのに相違ない。アントニイもきっと我我同様、クレオパトラの眼とか唇とかに、あり
余る償いを見出したであろう。その上又例の「彼女の心」! 実際我我の愛する女性は古....
「或る女」より 著者:有島武郎
喜ばせ申そうとのみあせって、しまいには夜の目もろくろく合わさなくなった。二週間に
余る苦心の末にそれはあらかたでき上がった。藍の地に簡単に白で模様を抜くだけならさ....
「或る女」より 著者:有島武郎
見て歩きたいのだけれども、土産物《みやげもの》は木村が例の銀行切手をくずしてあり
余るほど買って持たしてよこしたし、手もとには哀れなほどより金は残っていなかった。....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
夫婦はつぎつぎにお前たち三人の親となった。
私はその頃心の中に色々な問題をあり
余る程《ほど》持っていた。そして始終|齷齪《あくせく》しながら何一つ自分を「満足....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
、それでも四角に下座にすわって、丁寧に頭を下げた。 「しばらく」 八畳の座敷に
余るような※を帯びた太い声がした。 「あなたはどなたですか」 大きな男はちょっ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私もその苦痛は持っていた。人の前に私を私以上に立派に見せようとする虚妄な心は有り
余るほど持っていたけれども、そこに埋めることの出来ない苦痛をも全く失ってはいなか....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
とは打って変って、堂内にはひしひしと群集がひしめいていた。祭壇の前に集った百人に
余る少女は、棕櫚の葉の代りに、月桂樹の枝と花束とを高くかざしていた――夕栄の雲が....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
はよほど深く姫の胸にしみ込んで居るらしく、こちらの世界に引移って、最う千|年にも
余るというのに、今でも当時を想い出せば、自ずと涙がこぼれると言って居られました。....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
、夕日に影を映して見て、その頭に当る所を、夜中にそっと掘って見たら、大きな車にも
余る位、黄金が一山出て来たのです。 大金持になった杜子春は、すぐに立派な家を買....