余寒[語句情報] » 余寒

「余寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

余寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
な驚いて大騒ぎになったんですよ」 それは安政六年の三月はじめであった。その年は余寒が割合に長かったせいか、池の岸にも葦の青い芽がまだ見えなかった。ある時、近所....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
うえで、今日こそはという都合のいゝ日が見付からなかった。 その年の春はかなりに余寒が強くて、二月から三月にかけても天からたび/\白いものを降らせた。わたしは軽....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
どの年月が過ぎたのちに、彼は春二月のはじめ頃から風邪のここちで患い付いた。それは余寒の強い年で、日光や赤城から朝夕に吹きおろして来る風が、広い河原にただ一軒のこ....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
通りから、少し横丁に這入った三光町の一角に、町相応の古ぼけた写真館が建っていた。余寒の氷が去りやらぬ二月半の夜更け、空はカラリと晴れて蒼白い星が所在なげに瞬いて....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
。飛脚屋へ出しても十日二十日ぐらいずつかゝります。読下して見ると、 一簡奉啓上候余寒未難去候得共益々御壮健|恐悦至極に奉存候然者当屋敷|御上始め重役の銘々少しも....
新世帯」より 著者:徳田秋声
連れられて、表町へ帰って来た。ちょうどそれが朝の十時ごろで、三月と言っても、まだ余寒のきびしい、七、八日ごろのことであった。腕車が町の入口へ入って来ると、お作は....
古狢」より 著者:泉鏡花
ですよ。」 「おどかしなさんない。おじさんを。」と外套氏は笑ったが。 ――今年余寒の頃、雪の中を、里見、志賀の両氏が旅して、新潟の鍋茶屋などと併び称せらるる、....
蠅供養」より 著者:田中貢太郎
火鉢に翳している右の手の甲に一疋の蠅が来て止った。未だ二月の余寒の強い比にあっては、蠅は珍らしかった。九兵衛はもう蠅の出る時候になったのかと....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
たも呟いた。 「しかし今日は寒うござるな」侍客がまぜっかえす。 「さよう。しかし余寒でござるよ」 「余寒で一句出来ませんかな」「さようさ、何かでっち上げましょう....
」より 著者:岡本綺堂
づきの大雪、なんでも十年来の雪だとかいう噂だったが、それでも二月なかばからぐっと余寒がゆるんで、急に世間が春らしくなった。その頃、下谷の不忍の池浚いが始まってい....
酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
って歩こう、という仕組ができたのだ。 ひる前に、高崎をたった。料峭の候である。余寒がきびしい。榛名山の西の腰から流れ出す烏川の冷たい流れを渡り、板鼻町へ入った....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
宮に一泊し、翌早朝鹿沼で下車し、それから発光路へ向いました。 時は三月で、まだ余寒が酷しく、ぶるぶる震えながら鹿沼在を出かけましたが、村端れに人力車屋が四、五....
謎の咬傷」より 著者:小酒井不木
麹町区平河町の自宅の居間で、何ものかに殺されたという報知が、警視庁へ届いたのは、余寒のきびしい二月のある朝であった。 霧原警部は、部下の朝井、水野両刑事と警察....
勘平の死」より 著者:岡本綺堂
十右衛 よいお天気がつづきまして、まことに仕合せでございます。 半七 ことしは余寒が強くないので大きに楽でございました。もう直きに彼岸が来る。雛市がはじまる。....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
を穿き羽織を着たなりでベタ/\と大地へ坐ってしまい、動きません。今と違って若春は余寒も強く、松の内は夜に入ると人ッ子一人通りませんから寂として居りまして、往来は....