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余念
「余念〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余念の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
す》えて、しきりに水をかぶっている坊主頭、竹の手桶《ておけ》と焼き物の金魚とで、
余念なく遊んでいる虻蜂蜻蛉《あぶはちとんぼ》、――狭い流しにはそういう種々雑多な....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
ところがある日のこと、髪長彦はいつもの通り、とある大木の根がたに腰を卸しながら、
余念もなく笛を吹いていますと、たちまち自分の目の前へ、青い勾玉《まがたま》を沢山....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
使いながら、欄干に身をよせかけて、例の摩利信乃法師《まりしのほうし》と一しょに、
余念なく何事か話して居《お》るではございませんか。
それを見ますと私の甥は、以....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
》か何かのように、じっと石段の上に佇《たたず》みながら、一年生の無邪気な遊戯を、
余念もなく独り見守っている。その山高帽子とその紫の襟飾《ネクタイ》と――自分は当....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
しかつ》は、その障子を後《うしろ》にして、端然と膝を重ねたまま、さっきから書見に
余念がない。書物は恐らく、細川家の家臣の一人が借してくれた三国誌の中の一冊であろ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
色していたが、やがて向うの窓を洩れる大幅《おおはば》な薄日《うすび》の光の中に、
余念なく書物をはぐっている俊助の姿が目にはいると、早速《さっそく》その椅子《いす....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
か》な春の日の午後、天《あめ》の安河《やすかわ》の河原には大勢の若者が集まって、
余念もなく力競《ちからくら》べに耽《ふけ》っていた。
始《はじめ》、彼等は手《....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
とまた、向こうに日を浴びている漁夫の翁《おきな》も、あいかわらず網をつくろうのに
余念がない。こういう風景をながめていると、病弱な樗牛の心の中には、永遠なるものに....
「或る女」より 著者:有島武郎
の枕《まくら》もとには若い岡と愛子とがむつまじげに居たり立ったりして貞世の看護に
余念なく見えた。その時の葉子にはそれは美しくさえ見えた。親切な岡、柔順な愛子……....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
埋めかけた処、僕は民子が一心入日を拝むしおらしい姿が永く眼に残ってる。 二人が
余念なく話をしながら帰ってくると、背戸口の四つ目垣の外にお増がぼんやり立って、こ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
の。」 「おららが真似るようではないでしゅ。」 「ほ、ほ、そか、そか。」 と、
余念なさそうに頷いた――風はいま吹きつけたが――その不思議に乱れぬ、ひからびた燈....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
間使は詮方なげに、向直って、 「お嬢様、お茶を入れて参りましょう。」 勇美子は
余念なく滝太郎の贈物を視めていた。 「珈琲にいたしましょうか。」 「ああ、」 「....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
てた姿見に頬を並べた双の顔に、思わず見惚れて敷居の際。 この跫音にも心着かず、
余念もない二人の状を、飽かず視めてうっとりした。女房の何となく悚然としたのは、黄....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
、ここに記載して読者の参考となす。 拝啓、小生は小鳥類を餌養し、籠中に運動し、
余念なく時節につれて囀啼するを見聞し、無上の快事といたしおり候。当時も四、五羽相....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
と午前二時に至る。船客、一人の寝に就くものなし。その雄壮かつ奇絶なる光景を望みて
余念なく、あるいは歌いあるいはうそぶき、ほとんど徹夜の快遊をなす。当夕また船員の....