余憤[語句情報] » 余憤

「余憤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

余憤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
死後」より 著者:芥川竜之介
道に敷いた石炭殻も霧雨《きりさめ》か露かに濡《ぬ》れ透《とお》っていた。僕はまだ余憤《よふん》を感じたまま、出来るだけ足早に歩いて行った。が、いくら歩いて行って....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
しい。どうにかして上げますから。」 年とった支那人はこう言った後《のち》、まだ余憤《よふん》の消えないように若い下役《したやく》へ話しかけた。 「これは君の責....
ゼラール中尉」より 著者:菊池寛
柄《つか》を握りしめた。 が、ここで彼の怒りをもらすことは、自分が議論に負けた余憤をもらすように解釈されることの恐れがあったので、彼は激しい一|瞥《べつ》を残....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
どは云いやしないのだろう」 渡辺刑事が聞いた。 「無論云いやしない」 石子は余憤の未だ静まらない形で、荒々しく答えた。 「ではきゃつ脛に持つ疵で早くも悟った....
山県有朋の靴」より 著者:佐々木味津三
った。 しかし、今もなおこの幕臣の髷の中には、旗本柔弱なりと叱られたそのときの余憤がこもっているのか、わけても太い奴を横ざしにぶっ差して、目の光りのうちにも、....
」より 著者:徳田秋声
るように言った。 笹村は深山との長い交遊について、胸にぶすぶす燻っているような余憤があったが、それを言えば言うだけ、自分が小さくなるように思えるのが浅ましかっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「だからお前さん、猿におどかされなすったのだ」 「ほんに憎い畜生よ」 米友の余憤は容易に去らないのであります。 「何か猿が悪戯《いたずら》をしましたかね」 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は含むところがある、何とも理由は明かさず、頭からガンと夜歩きを差止めて、まだ何か余憤があるようです。しかし言いわけをしても駄目である。近藤が言い出したら、これは....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
かぞ》りの上手な親方。 「憎い野郎だ、公方様の悪口なんぞを言やがって」 一人は余憤勃々《よふんぼつぼつ》。それを銀床の親方はなだめて、 「少し酔っぱらってるよ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いや先刻は大儀でござった」 「先生、それにしても腹が立ちまするな」 岡村は何か余憤があるらしく、 「先生、拙者の考えには、この辻斬はたしかに城内の勤番の武士の....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
十月二十五日発|奉天赴長春汽車中作 万里平原南満洲 風光潤遠一天秋 当年戦跡留余憤 更使行人牽暗愁 「日露の親和がこの汽車中にはじまり、汽車の前進するがごと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「よく覚えておきなさい、この坂の名は袖切坂というのだから」 そういう言葉さえ余憤を含んでいるのが妙です。 「袖切坂……」 米友は、お角に聞かされた通り、袖....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の連中は逃げ帰ってしまいました。 こうして彼等を追い返したけれども、道庵先生の余憤はまだ冷めないのであります。寝巻のままで庭へ飛び下りました。庭へ飛び下りて用....
反抗」より 著者:豊島与志雄
を離れて一人になると、その気持からしきりに脅かされた。はては苛立たせられた。その余憤を彼は、知らず識らず隆吉の方へ持っていった。 周平がやって来る前に、隆吉は....
澪標」より 著者:外村繁
責めたところで何になろう。更にこんな私と妻とが言争っているのは、憐れ極まる。私は余憤を吐き捨てるように言う。 「今日だって、こんなに遅くまで、何をしていたんだ」....