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余所
「余所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
みせる緋塩瀬《ひしおぜ》の紙入れを開きて、渠はむぞうさに半円銀貨を投げ出だせり。
余所目《よそめ》に瞥《み》たる老夫はいたく驚きて面《かお》を背《そむ》けぬ、世話....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ば喧嘩《けんか》になる……弱るの何んの。そこで先ず、貸したように、預けたように、
余所《よそ》の蔵に秘《しま》ってありますわ。ところが、それ。」 と、これも気色....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
くや否や、鸚鵡返しに力が入った。床の間にしっとりと露を被いだ矢車の花は、燈の明を
余所に、暖か過ぎて障子を透した、富士見町あたりの大空の星の光を宿して、美しく活っ....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
…」 と謡うのが、遠いが手に取るように聞えた。――船大工が謡を唄う――ちょっと
余所にはない気色だ。……あまつさえ、地震の都から、とぼんとして落ちて来たものの目....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
喜十郎様、凶年にもない腕組をさっせえて、(善悪はともかく、内の嫁が可愛いにつけ、
余所の娘の臨月を、出て行けとは無慈悲で言われぬ。ただし廂を貸したものに、母屋を明....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
方の新粉屋が、ものの遠いように霞むにつけても、家路|遥かな思いがある。 また、
余所は知らず、目の前のざっと劇場ほどなその空屋の裡には、本所の空一面に漲らす黒雲....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
様が熟と視ました。 先生が蒼くなって、両手でお道さんを押除けながら、 (これは
余所の娘です、あわれな孤児です。) とあとが消えた。 (決行なさい、縫子。) ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
捌きが面白い、「若、金鍔を食うが可かッ。」勇んで飛込んだ菓子屋が、立派過ぎた。「
余所へ行きな、金鍔一つは売られない。」という。そこで焼芋。 と、活機に作者が、....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
るはずでない事を享けるというような心持であった。クサカはまだ人に諂う事を知らぬ。
余所の犬は後脚で立ったり、膝なぞに体を摩り付けたり、嬉しそうに吠えたりするが、ク....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
さなしかも古びた茶店の、薄暗い隅なる方に、その挙動も朦朧として、身動をするのが、
余所目にはまるで寝返をするようであった。 また寝られてなろうか! 「あれ、お客....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
を着換えたお雪を見た。繻子の帯もきりりとして、胸をしっかと下〆に女|扇子を差し、
余所行の装、顔も丸顔で派手だけれども、気が済まぬか悄然しているのであった。 「お....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
らべッこすりゃ、五分々々のがある、それは鳥さしで。 過日見たことがありました。
余所のおじさんの鳥さしが来て、私ン処の橋の詰で、榎の下で立留まって、六本めの枝の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
うじゃあないか。片腕ッていう処だが、紋床の役介者は親方の両腕だ、身に染みて遣りゃ
余所行の天窓を頼まれるッて言っていたものがあるよ、どうだい。」 「へ、……どうい....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の薫をあてに。) その相談の出来たのは、お夏さんが三年ぶりで愛吉に逢った夜で。
余所ゆきを着ていた上衣だけ脱いで、そのまま寝床へ入った、緋の紋綸子の長襦袢のまま....
「活人形」より 著者:泉鏡花
のだ。と言い励す得右衛門。綱は上意を承り、「親方、大人気無い、廃止にしましょう。
余所なら可いが、雪の下はちと、なあ、おい。と見返れば貞光が、「そうだともそうだと....