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「余映〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

余映の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
条の金色をした光が落ちていて、それは、瀑布をかけたような壮観だった。そして、その余映《よば》えに、騎西家の建物の片側だけが、わずかに照り映えて、その裏側のほうか....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
は、明るい灯がともっているが、真ン中の海に面した灯台の頭は真っ暗闇だ。地上の灯の余映を受けて、闇の中へ女角力の腹のようにボンヤリと浮き上ったその白塔の下では、胡....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
、あたりの尾根と云い谷と云い一面の樹海は薄暗にとざされそれがまた火のような西空の余映を受けて鈍く仄赤く生物の毒気のように映えかえり、そこかしこに点々と輝く鏡のよ....
パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
、うず高く積重ねておいた乾草が焼かれて、炎が夕ぐれの空を赤々と焦がしていた。その余映は森にまで達して彼の行く道を明るくした。 家が焼ける火を見ると子供達はぶる....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
る。 もう墨を溶《と》かしたような湯なのだが手に掬《すく》い上げて見ると、空の余映を受けて岩清水《いわしみず》のように明るいのである。上半身に残光を浴びて、千....
石狩川」より 著者:本庄陸男
ましょう」 「すぐ? うん」と、彼は目をあげて空を見まわした。 日は没したが、余映は今を限りと栄えていたのだ。もくりと湧《わ》きだした厚い雲はその厚み一ぱいに....
丹下左膳」より 著者:林不忘
てゆくだけで、樹々の影もこんもりと黒く狭霧《さぎり》がおりているのか、あんどんの余映を受けてぼやけた空気が、こめるともなく漂っているきり――いつも見慣れた、なん....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、細かい格子の嵌戸が切ってあった。そして、双方の格子戸から入って来る何処かの陽の余映を、周囲の壁が、鈍い銅色で重々しく照り返していて、またその弱々しい光線が、正....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
、下手に退場してしまうと、「ハムレットの寵妃」第三幕第四場が終るのである。緞帳の余映は、薄っすらと淡紅ばみ、列柱を上の蛇腹から、撫で下ろすように染めて行くのだっ....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
い水の上に、松をいただいた赤い岩がうかんでいる。いま長い黄昏が終り、夕陽の最後の余映が金朱色にそれを染めあげる。 竜太郎は、沈んだ眼ざしでそれを眺めながら、口....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
「…………」 「…………」 草より出て草へ沈むという武蔵野の陽は地平線に仄かな余映を残していた。草庵の後ろの杉林はもう暗かった。蜩の声を仰ぐと細い月がその梢に....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
もまた、この群松帯を引きたてているのである。それに遠く大紀山脈を染めている夕日の余映も、ここの木蔭にまで落ちて来て、七里の道も、恍惚たる一ときのまに通ってしまっ....
三階の家」より 著者:室生犀星
かなと思うた。 二階を上りつめると、往来へのとっつきの硝子雨戸が、鉄橋の電燈の余映で仄明るかった、いつも見るのだったが、今夜はそれがわけて際立って仄明るかった....