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余沢
「余沢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余沢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
に相違ござらぬ。遠つ祖どもの苦心があればこそ、二千年この方、幾百億の人々が、その
余沢に潤うてござるのじゃ。良沢の志は、そこでござる。われらは、この後に来《きた》....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
みると四社連盟による利益を蒙るものは必ずしも協定加入の各会社ばかりではなく、その
余沢は不加入会社にまで及んでいることがわかる。右のような次第で、結局被登録者には....
「謀叛論(草稿)」より 著者:徳冨蘆花
過ぎぬ。彼らは各々その位置に立ち自信に立って、するだけの事を存分にして土に入り、
余沢を明治の今日に享くる百姓らは、さりげなくその墓の近所で悠々と麦のサクを切って....
「読書法」より 著者:戸坂潤
仮に私が氏の誤訳悪訳を指摘するとすれば、それはとりも直さず氏の訳そのものの社会的
余沢(?)であると云う他あるまい。つまり熊沢氏は何も訳さずにどこかの語学の先生で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いがあったということです。それは参覲交代《さんきんこうたい》の大名の行列から来る
余沢《よたく》の潤いであるとのことです。 けれども、ここを通る参覲交代の大名の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
友で、持つべきものは友達だといって、神尾の友達甲斐ある器量をほめて、おのおのその
余沢《よたく》に恐悦している。 ただ不自由なのは一つ、この勢いで旧友すぐって、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でもって住職のために、唐紙へけえてやることは先生の御承諾になっているところだが、
余沢《よたく》でない、本目的に向っての擂鉢《すりばち》の墨汁は、果して何に使用す....
「白塔の歌」より 著者:豊島与志雄
君達の愛情を尊敬することは知っているよ。」と荘一清は快活にいいました。「現にその
余沢も感じている。種明しというのはここのことだが、君と僕とを一緒に方家へ招待さし....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
日居ないと損すると云って、みんな動きません」 こんなわけで、私は熱海の罹災者の
余沢を蒙った。 「こんなに日常品をジャン/\くれると知ったら、身の廻りの安物には....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
れた狂者であると分っても、助けることができるとは誰が請合えるものかね。文明開化の
余沢なんぞと申しても、陰謀に向って道理を照らす役に立ちやしないものだ。キリストや....
「マルコポロから」より 著者:寺田寅彦
されただけで首をきられる。するとその下の地位にいる同僚達は順繰りに昇進してみんな
余沢に霑うというような事があるとすると、それはいくらかはこのドラゴイアンの話に似....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
昔」のことである。 北海道の農村には、地主は居なかった。――不在だった。文化の
余沢が全然なく、肥料や馬糞の臭気がし、腰が曲って薄汚い百姓ばかりいる、そんな処に....
「上野」より 著者:永井荷風
曰ク三福長屋、曰ク恵比寿長屋等各三四戸アリ。徒《タダ》コレニ過ギズ。然ルニ皇制ノ
余沢僻隅ニ澆浩シ維新以降漸次ソノ繁昌ヲ得タリ。乍《タチマ》チニシテ島原ノ妓楼廃止....
「帝国劇場のオペラ」より 著者:永井荷風
作品と、又江戸浮世絵の蒐集品とを仏蘭西人の手より買取ったことがあった。是亦戦争の
余沢である。オペラは帝国劇場を主管する山本氏の斡旋に依って邦人の前に演奏せられ、....
「夕暮の窓より」より 著者:小川未明
の科学的文明が世界の幾千の都会に光りと色彩の美観を添え、益々繁華ならしめんとする
余沢も蒙っていない。たゞ千年前の青い空の下に、其の時分の昔の人も、こうして住んで....