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「余韻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

余韻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
ろに澄んでいるのは、頽廃の倫理のようでもあった。 だから、坂野はうっとりとその余韻をたのしみながら、 「――京ちゃんもいよいよわが党と来たかね。毎日でも打って....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
を考えてみなければならぬ。手判断は決して無意味なものではない。指先まで響いている余韻によって魂そのものを判断するのは不可能ではない。そうして、手が「いき」の表現....
白妖」より 著者:大阪圭吉
四 それから数分後――電話を掛ける大月氏のうわずった声が、ベルの余韻に押かぶさるようにして、停車場の中から聞えて来た。 ――ああ、もしもし――....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
ミ女史を引立てるようにして、倶楽部を出ていった。あとでは爆笑が起った。 爆笑の余韻が消えてしまってから、僕は一座を見廻したあとで、仲間のうちでの最強者と思われ....
古狢」より 著者:泉鏡花
しらるる。 さて、「いらして、また、おいで遊ばして」と枝折戸でいう一種綿々たる余韻の松風に伝う挨拶は、不思議に嫋々として、客は青柳に引戻さるる思がする。なお一....
日置流系図」より 著者:国枝史郎
でぼっと光を失ってしまう。 老武士は顔を埋ずめたまま店先までスーと寄って来たが余韻のない嗄れた低い声で、 「弓弦を一筋……」と咽ぶように云った。 「へーい」 ....
発明小僧」より 著者:海野十三
たものはコロコロと、太い管の中を転落して、タンクの中に入るから牛馬先生は、遥かに余韻嫋々たる風韻を耳にするであろう。 ハンドルが間に合わぬことを心配する人があ....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
わって来るのであるが、時として跫音のように聴えるとすぐに遠ざかって、微かな鋭い、余韻を引くこともあるけれど、それは無理強いに彼らを導くようでもあり、また妙に、口....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
たぬ間に、今度はお悦が斃された。ひとりは密通、一人は裏切り――その嗤いが、微かな余韻のようなものを引き、成戸は、たまらなくなったように地蟲のいる床のうえを踏み付....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
へ納めた。すると鍔鳴りの音がして、つづいて幽かではあったけれど、リ――ンと美しい余韻がした。 鍔のどこかに高価の金具が、象眼されていたのだろう。 それへ徹え....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
懐より横笛を取り出して、親しい「曲」を奏し始める。澄んだ笛の妙音、風に伝わって、余韻嫋々………舞台、しばらくは横笛を奏する文麻呂。 文麻呂、突然、何か不思議な予....
褐色の求道」より 著者:岡本かの子
ありません。春になると空や大地は詩的にも経済的にも私たちには赤裸にされてしまって余韻のないものになってしまうのです。その春がもう来ます。やっと私はここのレストラ....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
女子 第二の城門は瀧のように落ち下る、泉の水で守られている。(やや間近に聞こゆる余韻を追い)その城門も開いたのか? 私の身の上にふりかかっている命の預言が近づい....
変身」より 著者:カフカフランツ
音は、明らかにただ最初の瞬間においてだけは言葉の明瞭さを保たせておくのだが、その余韻をすっかり破壊してしまって、正しく聞き取ったかどうかわからないようにするほど....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
たぞなき春のかぎりの夕暮のそら これらの歌にすぐ感じられる事は、第一に嫋々とした余韻と、第二に自然を鑑賞する特殊の角度とである。まず第一の点であるが、一読して意....