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作り声
「作り声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
作り声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
った。年寄り夫婦は早く寝付いてしまったらしく、内には物の音もきこえなかった。彼は
作り声をして呶鳴った。 「愛宕《あたご》の天狗の使いじゃ。戸をあけい」 表の戸....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
声で訊いた。 「徳さんかえ」 徳さんという男の地声を知らないので、半七は早速に
作り声をするわけにも行かなかった。かれは頬かむりのままで無言にうなずくと、若い女....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で、その人相はよく判らなかったが、どちらも三十格好の男であるらしかった。いくらか
作り声をしているらしいので、これもよくは判らなかったが、その声音に著しい国訛りは....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
にひっかかったように、その場に震えだした。露見か? 「おウ……」 僕は大胆にも
作り声をして返事をした。 「早くしろ、早く。出かけるのが遅くなるじゃないか。……....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
「ああ、貴下は……西一郎!」 そう叫んだのは同じ妖女の声だったが、咄嗟の場合、
作り声ではなく、彼女の生地の声――珠のように澄んだ若々しい美声だった。――ああ、....
「蠅男」より 著者:海野十三
ハイ、お待ちどうさま。僕は帆村ですが、貴方はどなたさんですか」 すると向うで、
作り声らしい太い声が聞えてきた。 「探偵の帆村荘六君だネ。こっちは蠅男だ」 「え....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
むす子は、おかしさが口の端から洩れるのをそのまま、子供等に対する家長らしい厳しい
作り声をあっさり唇に偽装して、相手の群に発音し終ると、くるりと元の方向に踏み直っ....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
じゃあ無い。人違いだよ人違いだよ」 「馬鹿をお云いな、何を云うんだ。そんな老人の
作り声をしてさ。そんな手に乗るものか」 「いや本当だ、そんな者ではない。私は赤の....
「家」より 著者:島崎藤村
船で流して来た。榊は正太の膝を枕にして、互に手を執りながら、訴えるような男や女の
作り声を聞いた。三吉も横に成った。 三人がこの部屋を離れた頃は、遅かった。屋外....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
山おろしの木枯らしに吹かれながら軒並みをたずねて玄関をおとずれ、口々にわざと妙な
作り声をして「カイツットーセ」という言葉を繰り返す。「粥釣りをさせてください」と....
「火星探険」より 著者:海野十三
、牛頭仙人とさかんに押問答をやっているようだった。そしてラッパからしゃがれた張の
作り声が、はっきりしない言葉となって飛出すたびに、そのまわりに集っていた町の人々....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
おお、ローマの市民たちよ!」 と、前田マサ子がここを見せどころと少女歌劇ばりの
作り声を出す。 そこで棺の黒布がしずかに取りのぞかれる。…… ――と、シーザ....
「小翠」より 著者:田中貢太郎
こしらえ、二人の婢に青い着物を着せて従者に扮装さして、廐の馬を引きだして家を出、
作り声をしていった。 「王先生にお目にかかろう。」 馬を進めて王給諌の門口まで....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
ます。」 「むむ。」 秋山はうなずいた。兄弟であれば、声も似ている。弟の伊八が
作り声をして、兄の幽霊に化けているということはもう判り過ぎるほどに判ってしまった....
「能面の秘密」より 著者:坂口安吾
れなんですよ。あの奥さんは能もやれば長唄もやる。声の変化は楽にだせる人です。男の
作り声ぐらいは楽なんですね」 オツネは辻以上にびっくりして、しょげてしまった。....