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「佳い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

佳いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
で、気はつきながら洗わした。 その上、山の気か、女の香《におい》か、ほんのりと佳い薫《かおり》がする、私《わし》は背後《うしろ》でつく息じゃろうと思った。」 ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
たくはお前、一軒かけ離れて、あすこへ行くのは荷なんだけれども、ちとポカと来たし、佳い魚がなくッて困るッて言いなさる、廻ってお上げ、とお前さんが口を利くから、チョ....
春昼」より 著者:泉鏡花
からも空に連なる、海の色より、より濃な霞を吸った。 「真個に、結構な御堂ですな、佳い景色じゃありませんか。」 「や、もう大破でござって。おもりをいたす仏様に、こ....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
潮風、磯の香、海松、海藻の、咽喉を刺す硫黄の臭気と思いのほか、ほんに、清しい、佳い薫、(柔に袖を動かす)……ですが、時々、悚然する、腥い香のしますのは?…… ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
す耳に響いて、秋谷へ近路のその山づたい。鈴虫が音を立てると、露が溢れますような、佳い声で、そして物凄う、 (ここはどこの細道じゃ、 細道じゃ。 ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
妓屋さんへ出前ばかりが主ですから、ごらんの通りゆっくりじゃえな。ほんにお師匠さん佳いお声ですな。なあ、良人。」と、横顔で亭主を流眄。 「さよじゃ。」 とばかり....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
部屋の深いせいで、また寂い汽車でござったのでの。 さて、品川も大森も、海も畠も佳い月夜じゃ。ざんざと鳴るわの。蘆の葉のよい女郎、口吟む心持、一段のうちに、風は....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
時、ちょっと参りましたあの女でございますが、御串戯ではございましょうが、旦那様も佳い女だな、とおっしゃって下さいましたあのことでございますがね、」 と言いかけ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
た名の通、あなた相の山までいらっしゃいましたが、この前方へおいでなさりましても、佳い宿はござりません。後方の古市でござりませんと、旦那様方がお泊りになりまする旅....
黒百合」より 著者:泉鏡花
「今朝ほど、背負上を高くいたして、草鞋を穿きましてね、花籃を担ぎました、容子の佳い、美しい姉さんが、あの小さなお扇子を手に持って、」と言懸ると、何と心得たもの....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
一つとして、絵葉書で売るのとは場所が違う。それは港街道の路傍の小山の上に枝ぶりの佳いのを見立てたので。――真の夜泣松は、汽車から来る客たちのこの町へ入る本道に、....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
に向っては、澄ましていたのかも知れません。薄手で寂しい、眉の凜とした瓜核顔の……佳い標致。 申すのを忘れますまい。……さしあたり、……のちの祇園のお絹を東京に....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
れに食べものが出ている……四十面を下げたものが、そこへ顔が出せますか。 殊に、佳い女、と思うほど、ここにうそうそ居て、この顔が見えよう。覗くのさえ気がさします....
式部小路」より 著者:泉鏡花
は何とおっしゃるんでございますね。」 「お夏さんさ。」 「お夏さん?」 「婀娜な佳いお名だろう。」 「すると姓は何とおっしゃるんで、柳屋は、何でしょう絵草紙屋を....
註文帳」より 著者:泉鏡花
てていうけれど、女郎衆なんという者は、ハテ凡人にゃあ分らねえわ。お若さんの容色が佳いから天窓を下げるのが口惜いとよ。 私あ鐚一文世話になったんじゃあねえけれど....