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「併し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

併しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠義」より 著者:芥川竜之介
ない訳ではない。が、林右衛門は、それを「家」に関《かかわ》る大事として、惧れた。併し、彼は、それを「主《しゅう》」に関る大事として惧れたのである。 勿論、「家....
猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
張り野蛮人にも及ばぬ猫のことなれば、其好む所の色は燃ゆるが如き赤色であるらしい、併し是れは確乎としたことは言えないが、数回の調査は殆ど一致して居るから、先ず斯様....
深夜の市長」より 著者:海野十三
なる指弾を受け、市長金庫の立会開扉を求められたが、傲岸なる市長は之をも拒絶した。併し市長が己が醜跡を蔽い難きを悟り、遂に最後の手段として自殺を選んだものだと。因....
麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
とって悪くないことですわ。どんないい男にだって、お金で買われてゆくのでは厭です。併し、わたしは松山さんを殺した覚えなんかございません」 調べついでに園部を呼ん....
階段」より 著者:海野十三
と埃がたって僕の眼の中へとびこんで来た。僕はもうこの非衛生な仕事がいやになった。併し、この仕事をはじめてから三十分も経つうちに不思議な興味が僕に乗移った。駅の階....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
の煙草に、パッと火をつけて貪るように吸って、黄色い声をあげる。 左様に豪勢な(併し不思議な)人気を背負っている金青年の心は一体誰の上にあったかというと、それは....
三人の双生児」より 著者:海野十三
それはきっと妾のことだろうといって、はらからを名乗ってくる人が毎日十二三人ある。併し随分平気で出鱈目をやれる人があると見えて、やってくる人の殆んどは三十歳を越し....
自叙伝」より 著者:大杉栄
という町の近くの、越治村大字宇治というのにあった。今では、その越治村が隣り村と合併して、神守村となっている、父の家は代々その宇治の庄屋を勤めていたらしい。 大....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
を下して直ちに禁止する如き、恰も封建時代の地頭が水呑百姓に対する待遇である。是れ併し乍ら政府が無鉄砲なのでも属僚が没分暁なのでも何でもなくして、社会が文人の権威....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
策に就ては未だ嘗って要領を得た提案がない、彼等一般が腐敗しつつあるは事実である、併しそれらを救済せんとならば、彼等がどうして相率て堕落に赴くかということを考えね....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
る為に、竜次郎の廻国は始ったので有った。処が大杉明神で停滞したので有った。それは併し如何考えても不思議というより他は無かった。 押砂河岸に上る前に、木下河岸で....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
ぬしは拙者の腰の印籠を盗みおった。勿論油断して岩を枕に午睡したのがこちらの不覚。併し懐中無一文の武者修業、行先々の道場荒し。いずれ貧乏と見縊って、腰の印籠に眼を....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
に媚を持たせたら、かの女の好みには寧ろ堪えられないものになるであろうと思われた。併し、青年の表情は案外率直で非生物的だった。 青年のほのかな桜色の顔の色をかの....
江戸の化物」より 著者:岡本綺堂
とか聞いていますが、江戸でも盛んにその名を拡めています。これはかわうそと亀とを合併して河童といっていたらしく、川の中で足などに搦みつくのは大抵は亀だそうです。 ....
」より 著者:岡本綺堂
どきに強い山風が吹き出して来るのですが、又すぐに止みますよ。(炉に枝をくべる。)併し風が出ると寒くなります。馴れない方はかぜを引かないように気をつけて下さい。 ....