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併発
「併発〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
併発の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
師は手もなく、葉子のすべての悩みの原因は子宮|後屈《こうくつ》症と子宮内膜炎とを
併発しているからだといって聞かせた。葉子はあまりにわかりきった事を医師がさも知っ....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
》さ、あのくらい食い意地のきたない男はなかったが、あの食意地と禅坊主のわる意地が
併発《へいはつ》したのだから助からない。始めは僕らも気がつかなかったが今から考え....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
「これは僕の君に上げる最後の手紙になるだろうと思う。僕は喉頭結核の上に腸結核も
併発している。妻は僕と同じ病気に罹り僕よりも先に死んでしまった。あとには今年五つ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
っそり削げ鼻は尖り、手も蝋色に痩せ細っていたが、病気は急性の肺炎に、腹膜と腎臓の
併発症があり、梅村医師が懇意ずくで来診を求めた帝大のM―老博士も首を捻ったくらい....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
人生の戦に戦い死す。忠信なりし彼の女は、死に至る迄忠信なりき。病は敗血症と腸炎の
併発、事極めて意外、病勢は急転直下、僅かに二十時間にして彼女は去る。
盛大なりし....
「生あらば」より 著者:豊島与志雄
部に故障があるのではありますまいか。」 「故障と云いますと?」 「重い腸の病でも
併発したんでは。」 「いやそのことなら御安心なすっていいでしょう。私の診《み》た....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
と、彼女は気遣った。 啓介は初め、感性感冒に罹った。次で気管支加答児と肺炎とを
併発した。熱が下っても回復期が長かった。その間を待ちきれないで、まだラッセルが残....
「愉快な話」より 著者:豊島与志雄
。 禿と同様に病気も存在する。筆者は昨年末に、十二指腸潰瘍と十二指腸周囲炎との
併発症で、病床に横たわる身となった。いろいろ説明を聞くと、随分厄介な病気らしい。....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ちに潜伏している一種の病気の前駆症状たる事実が、重々しく動いてる時には、わずかな
併発症でもそれを停止さして紛糾させることがある。崩壊と再生とが生じてくる現象であ....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
界隈では、南雲さんのほかに手術室をもつ医者がなかったからである。 女房は腹膜を
併発して一月余り入院し、退院後も歩行が不自由なので、母のもとへ帰すわけにいかず、....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
うなのがあってごらん。彼女が長崎の女である限りは、お蝶さんが肺病と脚気と弁膜症を
併発して瀕死の病床にあっても、それは実に、驚くべき大食らいにきまっておりますよ。....
「外務大臣の死」より 著者:小酒井不木
から即刻来てくれという使者が来た。 事情をきいて見ると、総監は数日前より肺炎を
併発し、主治医から恢復の見込がないと宣言されたので、息のあるうちに、是非松島氏に....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
た。 やがての果てに、フェージャは水疱瘡にかかり、そのうえに感冒性の胸の痛みが
併発して、そこで少年は病いの床についた。はじめは薬草だ本草だと手をつくしてみたが....
「猫と村正」より 著者:小酒井不木
は心配してたずねました。 「いいえ、残念ながら腫瘍が脳を冒しまして、急性脳膜炎を
併発しましたから、とても恢復は望めません」 私は脳天に五寸釘を打こまれたように....
「三月の空の下」より 著者:小川未明
について、さまざまのことを思っていたのです。 その家は貧しくて、かぜから肺炎を
併発したのに手当ても十|分することができなかった。小さな火鉢にわずかばかりの炭を....