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「例の〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

例のの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
垣《そでがき》の外に植えた木犀《もくせい》は、まだその甘い匂いが衰えない。そこへ例の鳶《とび》の声がはるかな青空の向うから、時々笛を吹くように落ちて来た。 彼....
」より 著者:芥川竜之介
を願いますと。」 陳の声はいつの間にか、力のある調子を失っていた。今西はしかし例の通り、冷然と目礼を送ったまま、すぐに戸の向うへ隠れてしまった。 その内に更....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
細君の肖像画《しょうぞうが》を描《か》いて貰ったと云う一条です。その肖像画は彼が例のナポレオン一世の代りに、書斎の壁へ懸けて置きましたから、私も後《のち》に見ま....
河童」より 著者:芥川竜之介
も僕の見かけた中に小さい雄の河童が一匹、雌の河童を追いかけていました。雌の河童は例のとおり、誘惑的|遁走《とんそう》をしているのです。するとそこへ向こうの街《ま....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
京橋《きょうばし》界隈《かいわい》の旅籠《はたご》に宿を定めると、翌日からすぐに例のごとく、敵の所在を窺い始めた。するとそろそろ秋が立つ頃になって、やはり松平家....
奇遇」より 著者:芥川竜之介
家へ、もう一度舟を寄せて見るつもりだ。」 それから実際十日ばかりすると、王生は例の通り舟を艤《ぎ》して、川下《かわしも》の松江へ下って行った。そうして彼が帰っ....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
。 十二 牧野《まきの》の妻が訪れたのは、生憎《あいにく》例の雇婆《やといばあ》さんが、使いに行っている留守《るす》だった。案内を請う声に....
煙管」より 著者:芥川竜之介
る。 するとある日、彼等の五六人が、円《まる》い頭をならべて、一服やりながら、例の如く煙管の噂《うわさ》をしていると、そこへ、偶然、御数寄屋坊主《おすきやぼう....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た後《のち》、電話を切った洋一は、そこからすぐに梯子《はしご》を上《あが》って、例の通り二階の勉強部屋へ行った。が、机に向って見ても、受験の準備は云うまでもなく....
狂女」より 著者:秋田滋
普魯西兵の列は、蜿蜒として、果てしもなく続いた。どれを見てもみな同じように、例の普魯西の兵隊独特の操り人形よろしくと云った恰好をして歩いている。やがて、頭立....
初雪」より 著者:秋田滋
が好きな自分は、おおかたお前もそう思っていることだろうが、お前をあんなに苦しめた例の煖房には、まだ火を入れないようにしている――」 ここまで読んで来ると、彼女....
良夜」より 著者:饗庭篁村
当時の境界を申し送り、人世を以て学校とすれば書冊の学校へ入らずも御心配あるなと、例の空想に聊か実歴したる着実らしき事を交えて書送りたり。折返して今度は伯父よりの....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
その電流のためにある作用を受けているとして考えられる。また磁極の周りの空間にも、例の磁気指力線があるとして考えられる。かように、たとい中間には眼に見える物体が無....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
問の道を進ませようとしているのだった。じつのところ、彼は良心的な男で、いつも心に例の金言を銘じていた。「鞭を惜しむと、子供は甘くなる」イカバッド・クレーンの生徒....
親ごころ」より 著者:秋田滋
とで、まだ自分が若かった頃のことだと思われたからである。 その男は、その後も、例の二人の女と一しょに時折り教会へやって来た。おぼろげながら、遠いむかし、どこか....