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侘
「侘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
侘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
は勿論《もちろん》苛《い》ら苛《い》らして来た。しかしその底に潜んでいるのは妙に
侘《わび》しい心もちだった。僕はいつか外套の下に僕自身の体温を感じながら、前にも....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
、いやなかなか人参《にんじん》と干瓢《かんぴょう》どころではござらぬ。
品物は
侘《わび》しいが、なかなかのお手料理、餓《う》えてはいるし、冥加至極《みょうがし....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
を座敷へ進まなければならなかった。 「麁茶を一つ献じましょう。何事も御覧の通りの
侘住居で。……あの、茶道具を、これへな。」 と言うと、次の間の――崖の草のすぐ....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
館一二軒を、わざと避けて、軒に山駕籠と干菜を釣るし、土間の竈で、割木の火を焚く、
侘しそうな旅籠屋を烏のように覗き込み、黒き外套で、御免と、入ると、頬冠りをした親....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
になって動きそうに、蓬々と、曠野に※う夜の気勢。地蔵堂に釣った紙帳より、かえって
侘しき草の閨かな。 風の死んだ、寂とした夜で、あたかも宙に拡げたような、蚊帳の....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
する、雨気と人の香の、むっと籠った待合の裡へ、コツコツと――やはり泥になった――
侘い靴の尖を刻んで入った時、ふとその目覚しい処を見たのである。 たしか、中央の....
「古狢」より 著者:泉鏡花
、茹でた豌豆を売るのも、下駄屋の前ならびに、子供の履ものの目立って紅いのも、もの
侘しい。蒟蒻の桶に、鮒のバケツが並び、鰌の笊に、天秤を立掛けたままの魚屋の裏羽目....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
はないが、その笠は鴨居の上になって、空から畳を瞰下ろすような、惟うに漏る雨の余り
侘しさに、笠欲ししと念じた、壁の心が露れたものであろう――抜群にこの魍魎が偉大い....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
の清く白いのが、片手に、お京――その母の墓へ手向ける、小菊の黄菊と白菊と、あれは
侘しくて、こちこちと寂しいが、土地がら、今時はお定りの俗に称うる坊さん花、薊の軟....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
けれどもあるそうだ。いや、有るに違いはないんだよ。」 萱の軒端に鳥の声、という
侘しいのであるが、お雪が、朝、晩、花売に市へ行く、出際と、帰ってからと、二度ずつ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
た南岸の森の蔭、そこにホンの形ばかりの仮家を建てて、一|族の安否を気づかいながら
侘ずまいをして居りました。只今私が祀られているあの小桜神社の所在地――少し地形は....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
一 「このくらいな事が……何の……小児のうち歌留多を取りに行ったと思えば――」 越前の府、武生の、
侘しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行悩みながら、私....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
さイのウ、 綿雪小雪が降るわいのウ、 雨炉も小窓もしめさっし。」 と寂しい
侘しい唄の声――雪も、小児が爺婆に化けました。――風も次第に、ごうごうと樹ながら....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
承りたい。大なこのくらいの像を一体は。」とおおよその値段を当った。――冷々とした
侘住居である。木綿縞の膝掛を払って、筒袖のどんつくを着た膝を居り直って、それから....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
その節、取りまぎれて、折返しとは行かなかったけれども、二月とはおかず、間淵の
侘住居を訪ねたが、もうどこかへ引越しした。行くさきさえ、その辺で聞いても分らなか....