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侵す
「侵す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
侵すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
の胸に横たえられた葉子の顔は、綿入れと襦袢《じゅばん》とを通して倉地の胸を暖かく
侵すほど熱していた。倉地の目も珍しく曇っていた。そうして泣き入る葉子を大事そうに....
「外科室」より 著者:泉鏡花
《きづか》われて、塵《ちり》をも数うべく、明るくして、しかもなんとなくすさまじく
侵すべからざるごとき観あるところの外科室の中央に据えられたる、手術台なる伯爵夫人....
「ゼラール中尉」より 著者:菊池寛
対に安全であることを信じていたが、兵営の士官たちの間には、独軍がベルギーの中立を
侵すという説を唱うる者があった。中でもゼラール中尉はその説の有力なる主張者であっ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
充たすものとして感ぜられる。その動向を満足する為めに人類は道徳的努力を伴う苦痛を
侵すことを意としない。この現われは人類の歴史を荘厳なものにする。 誰か智的生活....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
数多い子孫を生じた。ティアマートはこの神々の群衆が次第に自分の領域を我がもの顔に
侵すのを見て、己が主権を擁護するために、人首牛身、犬身魚尾などという怪物どもの軍....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
しいような気がした。 それでもこのお爺さんは、温厚らしいうちにも、どこか知らに
侵すことのできない威厳をもっていた。が、一般の安南人となると、見るのもいやなくら....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
る。ごらんなされませ、あのように申しておきましたので女大使めは、わが国が太青洋を
侵す意志がないとの秘密電話を、大統領にかけましたようでございます。その隙をうかが....
「多神教」より 著者:泉鏡花
妾か。 お沢 いいえ。 神職 聞けば、聞けば聞くほど、おのれは、ここだくの邪淫を
侵す。言うまでもない、人の妾となって汚れた身を、鏝塗上塗に汚しおる。あまつさえ、....
「ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
うかというに、当時の封建武士がこの時代に流行した騎士道に心酔し、兎もすると法権を
侵す態の行動をし英気を他に洩らす術なき脾肉の嘆をかこっていたのを認め、この十字軍....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
般深川の橋の上で、女中に取巻かれて火を避けたのを愛吉が見たそれのごとく、ほとんど
侵すべからざる、威厳のあるものであった。しかもあきらかに一片の懸念の俤は、美しい....
「審判」より 著者:カフカフランツ
ちゅうKに教えてくれた。これこそ、ハステラーがいくら興奮して論争しているときでも
侵すことのない唯一の規則だった。そこで彼は、まだほとんどまったく身分などは持って....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の彼方を眺めますとヒマラヤの雪峰が朧に聳えて居る。その朧気な夜景は真に森厳にして
侵すべからざる威風を備えて居るので、何となく無限の感に打たれて五、六首の歌が出来....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
づくり、みどりの影がいりみだれて青いさざなみにうつっている。霜も雪も墨南部の地を
侵すこともなく、山紫水明の天然の美しさは一年を通じてのものである。) 十四日、....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
を為すには、既に述べた如く、所在の浮浪人の長、すなわちいわゆる長吏法師の縄張りを
侵すものとして、まず以てその地の長吏に渉りをつけなければならぬ。すなわちその部落....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
対する国防の確立が自然に将来戦争に対する準備となるのである。 ソ連が東亜連盟を
侵す径路は三つある。第一は満州国であり、第二は外蒙方面より蒙疆地方への侵入、第三....